経済
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はじめてみよう「イデコ」 人生100年時代のマネー設計②

 

 人生100年時代に向けたマネープランを考えるシリーズの2回目は、私的年金である、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」について専門家に聞いた。

 

 Q 給与所得者の平均給与は増えているのでしょうか。

 A 国民給与の実態統計調査(国税庁)によれば、2017年の給与所得者の年間の平均給与は432万円であり、前年に比べて2・5%増加しています。しかし、07年の給与所得者の平均年収は437万円と、17年の平均給与より多いのです。非正規雇用従業員の増加などの要因もありますが、上昇傾向とは言えないのが実状です。

 Q 給与が変化していない方の手取り収入に変化はあるのでしょうか。

 A 04年から17年まで厚生年金保険料が毎年引き上げられているので、企業に勤め厚生年金保険料を払っている方々の手取りは毎年減っています。

 Q 家計を守るためにどのような対策があるのでしょうか。

 A 投資と節税を両輪で進めていくことが考えられます。今回のテーマであるiDeCoは、資産運用を行った経験のない人でも、投資と節税にチャレンジしやすい仕組みとなっています。

 Q iDeCoとは。

 A 確定拠出年金には、企業が退職金として運用する企業型と、個人が運用する個人型の二つの種類がありますが、iDeCoは後者に該当します。毎月一定の金額を積み立て(=掛け金を拠出する)、あらかじめ用意された金融商品を自ら選んで資産形成を図る年金制度です。

 Q iDeCoに加入している人は多いのですか。

 A 現在、iDeCoに加入している人は、115万641人(19年1月時点)に上り、年々増加傾向にあります。運営管理機関連絡協議会によれば、加入者全体の年齢層は、40~49歳(32・7%)が最も多く、20~29歳(17・3%)の若い世代が少なくなっています。

 Q 誰でもiDeCoに加入することができるのでしょうか。加入できた場合、掛け金に上限はあるのでしょうか。

 A 日本在住の20歳以上60歳未満の方が対象であり、自営業者に加えて、企業年金に加入している会社員、公務員や専業主婦など多くの方が加入ができます。国民年金連合会が運営する「iDeCo公式サイト」を見ていただくと、加入資格と、掛け金の上限金額(年間)の詳細を確認できます。ただし、勤め先で企業型確定拠出年金に加入している場合は、企業年金規約で並行加入してよい旨が定められている場合のみ、iDeCoに加入することができます。

 Q 具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。

 A iDeCoを取り扱う銀行、保険会社、証券会社などの金融機関(運営管理機関)を通して、加入します。多くの金融機関がiDeCoを取り扱っていますが、その中から希望する金融機関を1社選んで加入手続きを行います。金融機関により提供している金融商品の種類や口座の管理にかかる手数料などが異なりますので、各金融機関のホームページなどをよくご覧になった上で、加入を検討されることが大切です。

 Q 月々の掛け金の金額は、決まっているのでしょうか。

 A iDeCoの掛け金は、掛け金の上限金額(年間)の範囲内で、月々5千円以上1千円単位で掛け金を決めます。18年からは、必要な手続きを行えば、加入者が決めた月にまとめて支払うことも可能となりました。

 Q メリットは。

 A 一つは、掛け金が所得控除となることです。iDeCo公式サイトのシミュレーションに基づくと、年収500万円のビジネスパーソンが、年間に14万4千円の掛け金を支払うと、2万8800円分の税金(概算)が軽減されることがわかります。このようなシミュレーションサイトを用いると、ご自身の年収や掛け金などに基づく節税額の目安を知ることができます。

 二つ目は、加入者の事情に応じて控除が受けられることです。年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象となります。三つ目は、掛け金の運用で得られた利益が非課税になることです。投資信託を選んで運用し分配金が支払われた場合は、課税されず投資信託へ再投資されます。

 Q 逆にデメリットは。

 A 掛け金は60歳になるまで支払い、60歳以降に老齢給付金として受け取ります。掛け金の減額や停止(それまでに支払った掛け金分の運用は継続される)はできますが、原則として60歳まで資産を引き出すことができません。60歳までに死亡した場合には、遺族が一時金として給付金を受け取ることになり、相続税の対象になります。

 Q iDeCoで運用できる金融商品は、リスクの高い商品が多いのでしょうか。

 A 金融商品の内容は金融機関によって異なりますが、投資信託と元本確保型の商品(例:定期預金、保険)が提供されています。投資信託の場合は、株式市場などの影響で元本を下回る可能性があります。金融商品は運用途中に変更できますので、投資信託を選択するための十分な金融知識がないと思う方は、元本確定型の金融商品を選択し所得控除を受けるのも一案です。メリット、デメリットを理解する必要はありますが、60歳以降の資産形成を考える上で、iDeCoは重要な一つの選択肢であるといえます。

 

[筆者]

日本総合研究所 創発戦略センター ESGリサーチセンター

小島 明子(こじま あきこ)

 

(KyodoWeekly6月3日号から転載)

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