経済
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データ偽装、どこまで続く―日本企業の構造的欠陥

 企業が品質データを改ざんしていたというニュースが流れなくなる日は来るのだろうか。

 10月16日に油圧機器メーカーのKYBが、地震の揺れを抑える免震・制振装置で性能検査記録データを改ざんしていたと発表した。さらに23日には、KYBの不正を受けて社内調査を行っていた川金ホールディングスのグループ企業、光陽精機も同様のデータ改ざんを公表した。一つの問題が発覚すると「実はわが社も」と名乗りを上げる企業が続く構図は、昨年の三菱マテリアル、神戸製鋼所、東レなどの品質データ改ざんと同様のものである。

 「みんなで渡れば怖くない」式の告白のドミノ倒しが今回はどこまで続くのだろうか。製造企業側の説明では国の基準には合格するが、顧客の要求する水準には不適合なものがあったなどと違法性を否認し、組織ぐるみではないと担当者の責任に帰し、経営の責任を回避しようとしている。

 しかし、顧客との信頼関係は大きくずれた。建設に当たった大手ゼネコンなどがデータ偽装に気が付かなかったのかという疑問も残るが、その解明は今後の課題だろう。

 日本は地震国であるだけに、建設発注者は免震・耐震の設計には注意を払ってきた。設計者の推奨に従って、多少費用がかかっても安全性を重視した選択をしてきたはずである。その発注者の意図がかくも簡単に裏切られる。「納期に間に合わない」ために不適合品の出荷に至ったという言い訳は、製造業者としての自覚に欠けている。納期に間に合わない受注を抱えた理由は利益優先の経営方針以外には考えにくい。

 かつて日本の製造現場には「わが社は」「わが社の製品は」と、自らのことのように自社製品の品質の高さを誇らしげに語る現場職員にあふれていた。その誇りは、この30年余りの利益優先主義の締め付けが奪った。そうでなければ、これほど連続してさまざまな企業が不正に関与し続けている状況は生まれない。特定の企業の特定の社員が犯した過ちではなく、日本企業の構造的欠陥が生んでいると認識すべき状況である。

 今回の改ざんは、広範囲な影響が懸念される事件だけに、政府は関係メーカーに一斉調査を求めた。政府の要求にどれだけ真摯(しんし)に回答するかで、その企業の在り方が問われる。とはいっても、自らの行政文書の改ざんをためらいもなく行う政府の指示は迫力に乏しい。

 データが信頼できない社会を作った責任は、官にも民にもある。人工知能(AI)とかビッグデータが騒がれ、データ処理技術の進歩は著しい。しかし、基礎となるデータが改ざんばかりだとすれば、どんなに立派な技術を使っても分析結果が信頼できるものにはならないだろう。

(東京大名誉教授 武田 晴人)

 

(KyodoWeekly11月19日号より転載)


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