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日本経済は今、どうなってる? キーワードから実情探る

 日本経済は、高度成長期後半のいざなぎ景気が記録した57カ月を上回る、戦後2番目に長い回復局面が続いています。ただ多くの人にとって、好景気という実感がないまま、足元では勢いに陰りも見え始めました。本当のところはどうなのか、いくつかのキーワードから経済の実情を探ってみました。(編集部)

 

国内総生産

 

 日本経済の動きを総合的に知ることができる最も有力なデータは、内閣府が四半期ごとに発表している国内総生産(GDP)です。

 GDPとは一国内で特定期間にモノやサービスがどのぐらい新たな価値(付加価値)を生み出したかを表し、前の四半期に比べてGDPが増えればプラスの経済成長となります。

 昨年10~12月期までGDPは8四半期連続のプラス成長と、バブル期以降では最も長くなっており、こうした面からは景気回復局面の息の長さが裏付けられました。

 ところが今年1~3月期のGDPは9四半期ぶりのマイナスとなっています。緩やかな回復基調が崩れたわけではないとの見方が多いものの、個人消費や設備投資など主要項目が軒並み振るわず、先行きに不安を残しました。

 

潜在成長率

 

 「潜在成長率」を見ても明るくなれません。これは経済の実力を測る尺度の一つで、その国が持つ労働力や資本などをフルに活用した場合に中長期的に達成できる成長率を表します。

 日本銀行が推計する日本経済の潜在成長率は0%台後半で、もっと高めていかなければなりません。ちなみに米国は2%前後とみられています。人口減少で労働力の増加は見込めないため、一人一人の労働生産力をどう引き上げていくかなど、いわゆる構造改革が潜在成長率の引き上げに必要です。

 

全国消費者物価指数

 

 一方、物価の動きはどうなっているのでしょうか。物差しとなる総務省発表の全国消費者物価指数(CPI)で判断すると、モノやサービスの値段が継続的に下落し、企業がもうからなくなって賃金も減る深刻なデフレ局面からは抜け出したようです。

 ただ4月のCPIの前年比上昇率は0・7%と2カ月連続で前月を下回り、日本銀行がしっかりした経済状況に見合う数字として目標に掲げる2%の物価上昇は一段と遠のきました。力強い物価上昇に不可欠なのは幅広い賃金上昇ですが、次に賃金と雇用の現状を見ていきます。

 

完全失業率

 

 雇用の代表的な指標は、総務省が発表している毎月の完全失業率です。

 完全失業率とは、労働力人口に対する完全失業者(仕事に就

いておらず、すぐ仕事できる状態にあって職を探している人)の割合です。今年1月に前月から0・3ポイント下がって2・4%と24年9カ月ぶりの低水準を記録し、注目を集めました。その後2月、3月ともに2・5%で推移しています。

 もっとも3月の就業者の内訳を見ていくと、正規職員・従業員が1・2%の増加だったのに対して、非正規職員・従業員は5・7%増えており、非正規雇用の伸びの方が大きくなっています。役員を除く雇用者に占める非正規職員の割合も38・2%と相当な水準です。

 

賃金

 

 厚生労働省が公表した2017年の賃金構造基本統計調査によると、正社員の月給を100とした場合に非正規は65・5と前年から0・3ポイント下がって賃金格差はやや拡大しました。

 こうした状況は、賃金・雇用が依然不安定であることを示しており、消費を抑えて貯蓄を優先する動きにつながっているとみられています。

 上場企業の18年3月期の利益は過去最高を更新する見通しですが、利益の伸びほど働き手の懐は暖まっていないとの指摘も出ています。

 

一般会計予算

 

 3月末に成立した18年度の一般会計予算のうち、社会保障費が32兆9732億円と全体の3割超に達しました。

 少子高齢化が進んでいるため年金や医療費は膨らみ続ける一方で、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となる25年にはさらなる社会保障費の増大が予想されています。そうした将来負担の重さへの不安が、家計部門が思い切った消費をしない大きな原因の一つです。

 

国民負担率

 

 国民や企業が所得の中から税金や社会保険料をどれだけ支払っているのかを示す国民負担率は、財務省の推計によると、18年度は42・5%、比較可能な1970年度以降では4番目の高さで、2014年度から5年続けて40%を上回る見込みとなっています。

 国民負担率は、15年で56・9%だったスウェーデンなどに比べるとまだ低いとはいえ、負担と福祉サービス給付のバランスで考えると、日本は負担感が大きいとの声が聞かれます。

 最後に新社会人の方が手に取りやすいいくつかの書籍を挙げておきます。

 経済の基本中の基本的な知識を身につけるには「図解 90分でわかる経済のしくみ」(Discover21、長瀬勝彦著)、平成以降の日本経済の推移を把握したいなら「日本経済入門」(日経文庫、藤井彰夫著)、少しだけ体系的に経済学を理解するなら「大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる」(KADOKAWA/中経出版、井堀利宏著)などがおすすめです。

 

[筆者]

共同通信経済部部長職

吉見 雄季(よしみ ゆうき)

 

(KyodoWeekly6月11日号から転載)


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