経済
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世界に通用するリーダーの条件情報、語学で求められるもの

CCCメディアハウス、245ページ、1500円(税別)

 筆者は組織のリーダー論の専門家として、経営者、団体のリーダー能力開発に関わっている。海外と比べ、多くの日本の経営者、リーダー候補には内向き志向が強く、〝ガラパゴス化”している印象を受ける。近著「世界で通用する『地頭力』のつくり方」(CCCメディアハウス)を参照しながら、リーダーに求められる条件を考えたい。

 

 世界で通用するリーダーが身に付けておくべきものは何か。筆者は、以下の四つを「変える」ことで、ガラパゴス化から抜け出ることを提案したい。

  ×   ×   ×

 1、「情報」を変える―日本中心、日本起点の情報収集から脱却

 日本人リーダーは、情報を収集する際に、どうしても、日本語で日本に本社を置くメディアの発信した情報を基にすることが多い。しかし、これは世界人口の50分の1、世界経済の約20分の1を占めるに過ぎない日本に過剰に偏重した情報の収集方法といえる。また、海外のニュースといっても、大きく扱われるのは、選挙や政治家の言動やスキャンダル、貿易戦争、紛争や内戦など政治関係が多い。これではビジネスパーソンにとって、世界の経済ビジネスの重要な情報が入ってこない。

 筆者は米国シリコンバレーなどで先進的なテクノロジー企業を訪問してインタビューをする機会がある。いつも思うのは新しいビジネスの最先端のニュースが「日本のメディアでは報道がないか、あっても小さいな」ということである。

 ニューズウィークやCNNテレビ、BBC放送などの日本語版(理想的には英語版)やNHKのBS放送の世界の放送局のニュースなどで、積極的にグローバルな視点で収集して、情報を読みとくことが重要であろう。

 2、「知識」を変える―社会に出てからこそ勉強する

 「インターネットで情報がなんでも手に入るから、知識は不要」といった声を聞くことがある。しかし、知識が不要というのは、さまざまな分野が錯綜(さくそう)して未来の予見ができない激動の時代においては、ビジネスパーソンとして致命的である。人工知能(AI)でも国際情勢でも、前提となる知識がないと考えることができないからだ。

 そもそも日本人ビジネスパーソンの能力開発は世界で比較的低レベルであると言われている。例えば、一般的にいったんは社会に出た年齢である25歳以降に大学院に入り直す日本人の割合は2%程度に過ぎず、世界の標準である20%前後と比較して圧倒的に低い(経済協力開発機構および文部科学省資料)。

 日本人は高校時代には大学受験勉強、大学は専門分野の勉強で、幅広い教養を学ぶ機会が乏しい。その点も知識の深さと広がりを欠くことになる。

 自分から遠いテーマこそ学ぶ必要がある。例えば、週末図書館で自分の現業や専門分野の本をあえて数冊借りる、雑誌を読むときは関心の低いテーマでも目を通す(ちなみにビル・ゲイツがしているとのこと)などを心掛けるべきだろう。

 3、「コミュニティー」「オフ」を変える―異質の他者と付き合う

 仕事上の付き合いか、気の合う学生時代などの仲間、しかもほとんどが日本人というコミュニティーに閉じこもっていることが多いのではないだろうか。仕事以外のオフが充実していないことにも通じる。

 理想は、自分が関わるコミュニティーが仕事、趣味、志がそれぞれ3分の1になることだ(なお、家庭はすべての前提なのでここでは除く)。

 顧客や取引先を含めた仕事関係については一定量は重要である。その他に趣味や志を同じくするコミュニティーをぜひとも重視したい。筆者にとっては、趣味は落語を一緒に稽古する仲間、志については大学院で一緒に経営学修士を学んだ仲間があげられる。

 4、「英語」を変える―甘い考えを捨て去る

 日本語で書かれた書籍や記事の中には、「英語は片言で十分」「英語は3日で学ぶことができる」といった安易な姿勢を助長するものが多い。

 日本語メディアではあまり出てこないが、日本人ビジネスパーソンの英語は、一部の達人を除き世界での悪評は高い。

 日本人は「インド人の英語は分からない」「シンガポール人の英語はシングリッシュ」といって敬意を払わない。しかし、英語が日常的に使われている両国に比べて、世界では日本人の英語ははるかに評判が低いと思っておいた方がよい。

 文法や語彙(ごい)が不正確である、発音がわからないといった指摘のほか、ぼそぼそと自信なく話すので情熱が感じられないという声も聞く。

 海外での合併・買収(M&A)がうまくいかないといった話題をよく耳にする。私もコンサルタントとして関わることがあるが、大きな理由の一つは英語をはじめとした語学力不足に基づくコミュニケーション不足が要因であろう。

 「高校時代は英語が得意で受験でも満点をとった」「TOEICで800点をとった」といったレベルでは、海外ビジネスを推進する上では不足している。語彙、文法、相手の文化理解なども含めて(その意味では英語以外の現地語も重要である)学ぶことが必要だ。

 筆者は、先に述べた情報の収集と併せ、ニューヨーク・タイムズを毎日自宅に配達してもらって読んでいる。NHK「実践ビジネス英語」も毎日聞き、知らない表現が出てきた際は単語帳に書き込んで移動時に覚えるようにしている。

 結論は単純だが、王道はない。地道に勉強を続け、リーダーとしての素養を身に付ける。さあ、今日から始めてみませんか。

 

[略歴]

(株)グローバルダイナミクス社長神戸情報大学院大学教授

山中 俊之(やまなか としゆき)

 


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