生活情報のコラム

【コラム】秋田県のスーパーマーケット経営者が見た、コロナ禍の自炊回帰

弁当作りに役立つ商品を並べた店内。
弁当作りに役立つ商品を並べた店内。

 弁当作りを通じて子どもたちを育てる取り組み「子どもが作る弁当の日」にかかわる大人たちが、自炊や子育てを取り巻く状況を見つめる連載コラム。スーパーマーケット経営者の髙栁智史が、コロナ禍の内食を振り返る———。

「このままいくと、スーパーマーケットは不要になる」

 新型コロナウイルス感染症がどのような感染症なのかまだよく分かっていない頃、スーパーマーケットの店内に異変が起きました。まとめ買いが発生して、多くの日持ちする商品の品切れや欠品が発生したのです。当初、私たちは、この状態に対処することに精一杯でした。しかし、事態が落ち着くにつれ、新型コロナは不幸を招いているけれど、今起こっていることは、ひょっとするとターニングポイントになるのではないかと理解するようになりました。

 私たちのビジネスは、家庭内食をする人で成り立っています。わがスーパーが加盟しているボランタリーチェーン(個々の独立小売店がチェーン店のような仕組みを作るビジネスモデル)であるシジシージャパン代表の堀内氏は、度々危機感を示していました。

 「まな板・包丁のない暮らしをする人、自炊をすることに価値があると考えない人が増えている。このままいくと、あなた方のスーパーマーケットビジネスは不要なものになってしまうよ」と。
 しかし、コロナ禍で、にわかに自炊する機会が増えていったのです。

 スパイスなど「シーズニング」と呼ばれる商品が2倍以上売れるようになりました。下ろす前の、いわゆる「丸魚」はコロナ前はなかなか売れなかったのですが、こちらも2倍以上売れています。全体的には、青果・鮮魚・精肉の生鮮3部門の売上が、加工食品の売上よりも10%程度の伸びを示しました。

 これらのデータは、自分で調理している証しです。珍しいシーズニングを使ってプロ顔負けのメニューに仕立てる。YouTubeなどで下ろし方を見て、自分で丸魚をさばく。「面倒だ」「できれば料理はしたくない」と言っていた人が台所に立つようになったのです。

 世の中の流れが、コロナ禍で変わりました。「料理する時間がもったいない」「この時間をできれば別の時間に使いたい」という考えから一転して、料理自体を楽しむ人が増えたのです。食事や料理の楽しさに目覚めた人々がこのまま継続して自炊に楽しんで取り組んでいってほしい。そのために、私たちスーパーマーケットが行っている提案の一つが「弁当の日」です。

 「弁当の日」とは、子どもたちが自分で弁当を作って学校に持っていく活動で、単に子どもに料理を覚えさせるのではなく、料理する人の苦労を思い、食への感謝や喜びを味わうものです。8年前に「弁当の日」提唱者の竹下和男先生の講演を聞き、この活動を地元で広めていかなくてはと思い立ちました。現在、秋田県内では10校程度で「弁当の日」が実践されています。

 近隣の学校で「弁当の日」が実施される日には、店舗のスタッフが「弁当の見本」を作っています。「弁当の日」が実施される3日ほど前から展示して、お子さんたちが当日に作る弁当のヒントになれば、という思いからです。見本を展示すると、食材を購入に来た親子が立ち止まって話をしている姿を見かけます。

スーパーに並べた手作り弁当の見本。
スーパーに並べた手作り弁当の見本。

 ちなみに私の息子3人は、地元である秋田県大仙市、花館小学校の「弁当の日」の卒業生です。3人の息子が思い思いに台所に立って料理をしている姿を見ると、「弁当の日」の活動は偉大だなと思えてきます。3人には、「将来あなた達はモテると思うよ」と、誉め言葉のつもりでつぶやいています。

髙栁智史(たかやなぎ・ともじ)
 1970年生まれ。秋田県出身。株式会社タカヤナギの代表取締役社長。タカヤナギは1910(明治43)年創業。秋田県南の商業都市大仙市に本部を置き、県中央より県南部にわたってスーパーマーケットチェーン事業を展開している。

#弁当の日応援プロジェクトは「弁当の日」の実践を通じて、健全な次世代育成と持続可能な社会の構築を目指しています。より多くの方に「弁当の日」の取り組みを知っていただき、一人でも多くの子どもたちに「弁当の日」を経験してほしいと考え、キッコーマン、クリナップ、クレハ、シジシージャパン、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、東京ガス、日清オイリオグループ、ハウス食品グループ本社、丸大食品、雪印メグミルクとともにさまざまな活動を行っています。

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