生活情報のコラム

【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】Aさんからのお手紙

TOMOYUKI HANAI    090_1833_4510

2021年12月27日=996

*がんの転移を知った2019年4月8日から起算

4枚の大作

 2021年11月のとある日、職場に1通のお手紙をいただいた。拙著『緩和ケア医 がんと生きる40の言葉』(双葉社・東京)を読んでくださった感想だった。文の主をここではAさんとしよう。Aさんはいま、近隣の県にあるB病院で入院中だ。友人からの薦めでわが著を手にして読んだということで、その感想がつづられていた。4枚の大作であり、一部を引用する。

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 初めてお手紙書きます。本拝読致しました。…昨年の8月の定期健診でステージ4の○○がんと告知されことばがありませんでした。…いきなり、長くて半年から1年といわれ、・・・抗がん剤が始まり○クールもがんばりましたが1年たったころ、がんの成長がみられもう点てきはむりといわれました。…もう治療はあきらめました。1年生きたのだから後ゆっくり生きたいと思いました。…私もチョコたべました。今ようかんさがしてますがないです。どこのスーパーにありますか。… がんばりましょうね

(原文を尊重したく、なるべく言葉遣いはそのままです)

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ようかんを持って面会へ

 居ても立ってもいられなくなったわたくしは思い切って、Aさんの入院するB病院を訪ねることにした。話題の「ようかん」[※編注:著書に一口サイズのようかんの食べやすさについての話題がある]を届けたかった。手紙を受け取った翌日のことである。この日(に限って)は仕事がなくて本当によかった。

 「門前払いならば仕方ない」と腹をくくり、電話で事前に確認などしないで、いきなり訪ねた。予想通りコロナ禍による面会制限はあったものの、病院スタッフに正直に事情を話すとAさんに連絡してくれ、Aさんから面会の許可も下りた。本当にありがたかったぁ。いよいよ面会。

 Aさんはベッド上で体を起こして迎えてくださった。お互い感動を隠せなかった。そして会話が進む。病に限らず現在の調子などを語り合った。がんを生きるわたくしの話も聴いてもらえた。

 そしてそして、井村屋のようかん。Aさんはどこにも売ってないと訴えていたが、この販売元はわが地元である。途中で「小豆」と「抹茶」のようかん2種類を購入していた。お出しすると、

「わたし抹茶も大好きなんですよ」

 大いに喜んでもらえて、抹茶、そしてもちろん小豆もお渡しすることができた。その後の会話でAさんは、

「わたしはミルクチョコレート派なんですよ」

 わたくしが愛用するアルファベットチョコレートではなくミルクチョコレートが好物なんだと、にっこにこの笑顔で教えてくれた。[※編注:著書の中にアルファベットチョコレートで名前の”Y・O”をつづって食べるエピソードがある]

 仕事における医療現場での出会いもうれしいが、その日はそれに勝るとも劣らぬものとなった。誠にありがたや。そしてかなうならばAさんにまたお目にかかりたい。これもわが著が導いてくれた”一期二会(いちごふたえ)”である。

来年もよろしくおねがいします

 これから向かう2022年もかような機会を期待したい。これを読んでくださったみなさん、拙著『緩和ケア医 がんと生きる40の言葉』(双葉社より)を手に取っていただけましたら、とってもうれしいです。

 2021年、このコーナー「足し算命」ならびに大橋洋平に対して多大なる応援をちょうだいし、本当にありがとうございました。とら年も引き続きごひいきのほど何とぞよろしくお願い申し上げまする。

(発信中、フェイスブックおよびYouTube“足し算命520”)

おおはし・ようへい
 1963年、三重県生まれ。三重大学医学部卒。JA愛知厚生連 海南病院(愛知県弥富市)緩和ケア病棟の非常勤医師。稀少がん・ジストとの闘病を語る投稿が、2018年12月に朝日新聞の読者「声」欄に掲載され、全てのがん患者に「しぶとく生きて!」とエールを送った。これをきっかけに2019年8月『緩和ケア医が、がんになって』(双葉社)、2020年9月『がんを生きる緩和ケア医が答える 命の質問58』(双葉社)、2021年10月『緩和ケア医 がんと生きる40の言葉』(双葉社)を出版。その率直な語り口が共感を呼んでいる。
 このコーナーではがんと闘病中の大橋先生が、日々の生活の中で思ったことを、気ままにつづっていきます。随時更新。

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