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【洋楽を抱きしめて】1950年代の古き良き米国への惜別を歌ったドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」

『アメリカン・パイ/ドン・マクリーン』 (ユニバーサルミュージック)
『アメリカン・パイ/ドン・マクリーン』
(ユニバーサルミュージック)

 ドン・マクリーンの1971年の作品「アメリカン・パイ」は、その出だしが’59年2月に飛行機事故で不慮の死を遂げたバディ・ホリーを追悼していることで知られている。ドンは子ども時代のアイドルだったホリーの死を「音楽が死んだ日」としたのだ。

 だが、この8分30秒の大作はそれだけではない。ジョン・F・ケネディ暗殺後のアメリカン・ドリームへの惜別――60年代の米国の文化的、政治的減退を歌っている。

 そしてジョン・F・ケネディはもちろんのこと、ベトナム戦争、社会革命、エルヴィス・プレスリー、ミック・ジャガー、マーティン・ルーサー・キング牧師、チャールズ・マンソン、ヘルズ・エンジェル、ビートルズ、ジェームス・ディーン、ドラッグなどすべてが含まれているのだ。

 「『アメリカン・パイ』はある面ではスピリチュアルな歌だ。つまり国のスピリットについて、そして国に何が起こっているかについて歌っているのだ。音楽がそれを表現している」とドンは語った(2021年2月4日付「ナッシュビル・テネシアン」)。

 さらにドンは英ガーディアン紙(2020年10月22日付)に対して「『アメリカン・パイ』は彼が15歳の時に急逝した父親のことをも歌っているのだ」と告白した。ドンは父親の死を予言していたのだという。その話を祖母に一蹴されたドンだったが、数日後、彼の目の前で父は転落死してしまうのだ。それが歌に影響したのだという。

 「アメリカン・パイ」はドンが24歳の時に書いた作品だ。演奏時間が長いことからシングルではAB面に分けて収録されたが、’72年初めに4週間、米ビルボード誌のチャートで首位を獲得。同年の年間ヒット・ランキングでも第3位を記録する大ヒットとなった。

 歌詞に、キングとクイーンのために歌う「道化師」(jester)というのが登場するが、これは広くボブ・ディランのことを指すと信じられてきた。当のディランはこれを不愉快に思っていたという。だが、ドンはこの件については明言を避け続けている。

 一般的に歌詞への評価が高い作品だが、ドン自身は、今まで話したことはなかったけれど、と断りながら、「この歌の本当に優れている点は歌詞ではなく、その構成にある。つまりフォーク、ロックン・ロール、古いポピュラー・ミュージックの完璧な融合だ」と語った。

 ゆっくりとしたイントロがポップな部分で、それからピアノが入り、テンポが早まりコーラスに、そこがロックン・ロールだ、そしてフォークの要素というのはヴァースからコーラスそしてヴァースという構成がそうだ、とドンは説明する。

 「アメリカン・パイ」の大成功の後、ドンは’75年に「ワンダフル・ベイビー」をヒットさせるもしばらくは鳴りを潜めていたが、’81年にロイ・オービソンのカバー・バージョン「クライング」が最高位5位を記録するヒットとなり表舞台に再び立った。

 同名アルバムのジャケットも有名だ。星条旗を描いた左手の親指をドンが突き出している印象的なアップ写真が、多くの「ジャケ買い」を生んだともいわれている。

文・桑原亘之介

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