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【洋楽を抱きしめて】小説『ノルウェイの森』で脚光を浴びたヘンリー・マンシーニの「ディア・ハート」

『ディア・ハート/ヘンリー・マンシーニ』 (SMJ)
『ディア・ハート/ヘンリー・マンシーニ』
(SMJ)

 かつて映画音楽はひとつのジャンルとして、ヒット・チャートを大いに賑わせていた。そのスクリーン・ミュージックの巨匠といえばヘンリー・マンシーニが挙げられるだろう。最も有名なのがおそらくは、オードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』で使われた「ムーン・リバー」。その他の代表曲は枚挙にいとまがないくらいだ。

 マンシーニの数々の傑作の中でも、比較的知名度が低かった作品に「ディア・ハート」(1964)がある。しかし、ここ日本では村上春樹氏が小説『ノルウェイの森』で取り上げたことで、20年以上の時を経て、再びスポットライトが当たることになった。

 外の世界との折り合いがつかずに心を病んでしまった登場人物の直子の一番のお気に入りの曲として「ディア・ハート」が登場する。直子が自ら死を選んでしまった後、主人公のワタナベ君と彼女の「療養所」でのルームメイトだったレイコは二人で「お葬式」をする。

 レイコはギターでまず直子の好きだった「ディア・ハート」を静かに弾いた。レイコはワタナベ君に言った「このレコードあなたが直子にプレゼントしたんでしょ?」。彼は答えて「そうです。一昨年のクリスマスにね。あの子はこの曲がとても好きだったから」と言った。
 レイコは続けて「私も好きよ、これ。とても優しくて美しくて」。

 村上氏の大ベストセラー小説の中で印象的に使われたことで、「ディア・ハート」が再注目されるようになった。もともとは’64年にコメディ映画のタイトル曲として使われた。同映画が日本では当時、劇場未公開だったこともあって、知名度の低さにつながっていた。

 だが米国では、楽曲のクオリティーの高さもあって、アンディ・ウィリアムズが同年さっそく取り上げて、全米ヒット・チャートの24位を記録。さらにはジャック・ジョーンズがカバーして、同チャートの最高位30位を獲得するヒットとなった。

 その後もカバーするアーティストが続き、フランク・シナトラ、ボビー・ダーリン、ペギー・リー、レターメン、ボビー・ヴィントンといったそうそうたる面子に取り上げられてきたのである。ここ日本では、ザ・ピーナッツがカバーしている。

 マンシーニは1924年、オハイオ州クリーブランド生まれ。ペンシルバニアで育ち、8歳からフルートを習い、13歳でピアノを始め、15歳の時にはアレンジを手掛けていたという。高校を出ると、ニューヨークの名門ジュリアード音楽院に進む。

 一時海軍に籍を置いた後、グレン・ミラー・バンドに加入した。’52年から7年間、ユニバーサル映画社の作曲を担当して、およそ150曲のスコアを書き上げたといわれる。

 主な作品に、「酒とバラの日々」、「シャレード」、「ひまわり」、「ピンク・パンサー」、「暗くなるまで待って」、「華麗なるヒコーキ野郎」などがある。’94年に70歳で亡くなったが、グラミー賞を20回受賞、アカデミー賞を4回受賞した。

文・桑原亘之介

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