生活情報のコラム

映画『わたしはダフネ』 生成りの言葉と風景と

(C)2019, Vivo film - tutti i diritti riservati
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 ダウン症の女性と父親の物語。そういう先入観は見事に打ち砕かれる。公開されたイタリア映画『わたしはダフネ』(フェデリコ・ボンディ監督・脚本)は、母親を失った一人の個性的な女性と、彼女を見守っているつもりが、実は見守られていることに気付く父親の物語だ。

 ダフネを演じているのはカロリーナ・ラスパンティさん。ダウン症だが、作品の冒頭から、観客はそのことを忘れ始める。母マリアの突然の死で、父ルイジと二人での生活が始まるが、喪失感と今後の不安で押しつぶされそうなルイジを見ながら、「人生はしんどいものよ」と悲しみを正面から受け止めつつ日常を取り戻すダフネ。てきぱきと働き、家事をこなし、時に自分に干渉したり心配し過ぎたりする父親にいらついて口げんか。ルイジや職場の同僚と交わすそんな言葉の一つ一つが、生成りの麻のような風合いと真っすぐな強さを持っている。演じたカロリーナさんに脚本はなかったのだそうだ。彼女が「何も知らない」ということが撮影の基礎だったと監督はオフィシャル・インタビューで答えている。

 この家族の要となっていたのは、作品前半で“退場”してしまった母マリアだったかもしれない。ダフネもルイジも、母親であり妻であるマリアとのつながりは言うまでもなく強かったが、扇の要を失った後の二人は、互いの位置を手探りで探しているように見えた。ルイジが旅先の宿屋で雑談ついでに吐露した、ダフネが生まれた直後の気持ちは、過去にあったその距離を代弁しているかのようだ。妻を失い、“生き方”を忘れてしまったようなルイジのために、ダフネは母マリアの故郷への徒歩旅を提案する。トスカーナの風景はもう一つの見どころ。そしてダフネの珠玉の一言が、最後に待っている。

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