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【スピリチュアル・ビートルズ】私論:「イマジン」と地球市民 コロナ禍で浮かび上がった国境のない世界

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 2021年はジョン・レノンとオノ・ヨーコの「イマジン」が発表されて50周年。もともとは紛争や戦争、人種差別、宗教対立、貧富の格差などが絶えない世界を憂いて二人が作った作品だ。当時の世相を振り返れば、ベトナム戦争が泥沼化し、人種問題が依然深刻で、それらを念頭に作られた歌だという捉えられ方が一般的だったと思う。

 彼らは言った。「国なんてない、宗教もない、財産なんかない――そう想像してごらん。そうすれば、私たちが争いの種にしてきたものがなくなるのだから。想像してごらん、その結果、世界中のすべての人々が平和に暮らしていることを」と。

 つまり、国単位でものごとを考えることの狭苦しさ、宗教の違いで本来彼らが共通して目指しているもの(それは愛かもしれないし真理かもしれない)を見失ってしまうこと、財産の多寡で人が評価されるようなこと、そういう意識を変えなければいけないと訴えたのだ。

 人間の大切さは、国の違い、宗教の違い、財産の多寡によって変わるわけでない、いや変わるべきでない。皆同じ「地球市民」だということを想像するべきなのだ。

 いまや、人々は地球市民としての意識に目覚めるべきだと思う。そうでなければ、地球規模で進む温暖化、環境汚染、飢餓などに本当の意味で対処出来ないだろう。気候変動にしてもこれを解決しなければ、海水面の上昇、熱波、大型台風の頻繁な出現などにより、この地球に人類が住めなくなってしまう。これは国単位で取り組むべき問題ではもはやない。

 温暖化に国境はない。環境にも国境はないのだ。飢餓も途上国だけの問題ではない。途上国からの資源などの収奪を考えると、先進国も責任を免れない。もはや国籍、人種、民族、宗教、財産などに違いがあっても、皆同じ問題に直面し、そこから逃れられないのだ。

 私たちは皆地球という一つの船に乗っている。その船が沈めば人間は存在出来ない。つまらぬことで争っている場合でないのだ。人間はあくまでも自然の一部である。科学技術によって自然を支配・征服出来る、問題を克服出来るという考え方もあろう。だが、繰り返しになるが、人間はあくまでも自然の一部にしか過ぎないのだ。

 見方によっては、人間は地球の「寄生虫」で、しかもタチの悪い「害虫」なのではないか。それは人間以外の動植物たちにとっては不幸なことだ。いまや人類は大自然の前ではちっぽけな存在であることを認識して謙虚になるべきだと思う。

 現在、世界で猛威を振るっている新型コロナウイルスの問題を考えれば、もはや国境のない地球規模での協力が不可欠なことがわかるだろう。これを契機として、国連などを主体とした世界規模での団結、協力が進むようになることへの希望を見出したい。

 「イマジン」も時代とともに「変容」してきたのだと思う。発表から半世紀経っても、悲しいかな、争いや種々の問題は後を絶たない。そういう地球上の問題はあるが、その「舞台」である地球自体が危機に直面しているのだ。いまや想像の力を働かせ、私たち一人一人が地球市民として立ち上がり、あらゆる障壁を乗り越えて、歩みを進めていく時なのではないか。

 「イマジン」の本質を理解しているのだろう。やはり血は争えない。ジョンの息子、ジュリアンは世界中を旅して、写真を撮ることで、地球の抱える問題を提起し続けている。さらに彼は環境問題、人道問題に取り組むために「White Feather Foundation」(白い羽基金)を立ち上げている。もう一人の息子、ショーンも環境汚染や、一部の富裕層への富の集中による貧富の拡大といったグローバルな問題に対して声を上げ続けている。

『イマジン/ジョン・レノン』(ユニバーサル・ミュージック)
『イマジン/ジョン・レノン』(ユニバーサル・ミュージック)

 「イマジン」は発表当時、非現実的だとして一部の人々から批判された。だが、その歌の精神は死ぬことがなかった。いやむしろ今こそ「再評価」されつつある。

 ジョンとヨーコは言った。「ぼくを夢想家だと思うかもしれない。だけど、ぼく一人だけではないはずだ。想像してごらん、すべての人々が平和な暮らしを送っていることを」。

 この拙文は、斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』(集英社新書)にインスパイアされたものであることを最後に記しておきたい。興味深いのは、ジョンとヨーコの「イマジン」はかつて「共産主義者の歌」だとして批判されたが、斎藤氏は資本主義の転換を訴えて「脱成長コミュニズム」が人類を救うとしている点である。

文・桑原亘之介

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