生活情報のコラム

【洋楽を抱きしめて】「素顔のままで」高まっていく愛

『ストレンジャー/ビリー・ジョエル』(SMJ)
『ストレンジャー/ビリー・ジョエル』(SMJ)

 ロマンチシズム溢れるラブソングといわれて、私がまず思い浮かべるのがビリー・ジョエルの「素顔のままで」(Just the way you are)だ。
 玄人筋には評判が良かったビリーを本当の意味でスーパースターの座に押し上げた1977年の世界的ヒット・アルバム『ストレンジャー』に収録されており、先行シングルとしても発売され、全米最高3位を記録した。

 歌詞は直球勝負のラブソングだ。まず「ありのままの君を受け入れよう」とくる。感情は次第に高まり、次は「今のままの君が欲しいのだ」とくる。そしてサビの歌詞は「ありのままの君を愛する」と続いていく。
 愛情とはまず「take」、受け入れることから始まり、人間だから精神的、肉体的にも「want」、欲するようになるというのだ。そして「love」がくるというのである。
 だが、ビリーも人間だ。「want」を超越した「love」で終わるかと思いきや、この歌は再び「今のままの君が欲しいのだ」と締めくくられる。「want」で終わるのだ。そこにこの物質世界に暮らすビリーという一人の生身の人間が垣間見えるのではないかと思う。
 サウンド的にはフィル・ウッズのアルト・サックスが素晴らしい。

 「素顔のままで」にはアルバム・バージョンとは別にエディテッド・バージョンが存在する。彼のベスト盤「ビリー・ザ・ベスト」には後者の編集バージョンが収録されているのだが、これはオリジナルより一分以上短い。
 そして何よりも歌詞の肝になる部分が「take」、「love」、「want」で終わってしまうのだ。オリジナルで一番興味深い「take」、「want」、「love」、「want」という絶妙な並びが台無しになってしまった編集バージョンはいただけないと思う。
 日本では「ストレンジャー」というアルバム・タイトル曲のほうが高い人気を誇るが、アメリカを含む世界的には「素顔のままで」の高評価が定まっているようだ。

 アルバムのライナーノーツで音楽評論家の鈴木道子(すずき・みちこ)氏は次のように書いている。「現代というマンモス社会の中で、懸命に生きている人間への彼の想い、呼びかけは、そのまま自分のものであり、彼自身の物語でもあるのだ。その共感が、今日を示すサウンドと、説得力にとんだ魅力的な歌声とともに、このニュー・アルバムを、かつてないほどの早さでベストセラーにし、「素顔のままで」をシングル・ヒットさせているのだと思う」。

 数多の名曲を手掛けたポール・マッカートニーが「ほかの人が書いた曲で自分(ポール)が書けばよかったなと思うものはありますか?」と問われた際にいつも挙げていた曲のひとつが、ビリーの「素顔のままで」だったことは有名だ。

文・桑原亘之介

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