生活情報のコラム

【洋楽を抱きしめて】 エルビスの歌の今日的意味を考える

『イフ・アイ・キャン・ドリーム/エルヴィス・プレスリー・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』(ソニー・ミュージック)
『イフ・アイ・キャン・ドリーム/エルヴィス・プレスリー・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』(ソニー・ミュージック)

 日本では過小評価されている感じのあるエルビス・プレスリー。だが、欧米での彼の人気は益々高まるばかりで、衰えることを知らない。それは彼が体現した「若さ」、「エネルギー」、「素直さ」、「純粋さ」、「包容力」、何よりも「自由への解放」を求める声が、いまだに米国のみならず世界中で、止んでいないということの裏返しなのではないか。

 エルビスが確立させたロックンロールという表現形式自体が、黒人音楽と白人音楽との出会い、融合であったということは何よりも重要だ。そしてロックの誕生、流行が米国内で嵐のように起こった黒人らマイノリティ(少数派)の正当な権利を求めた公民権運動の広がりと軌を一にしていることは、単なる偶然の一致ではなかった。

 40周忌を迎えたエルビスについて、米タイム誌は2017年8月21日号で「アメリカの心の中のエルビス」と題した特集記事を掲載した。

 同記事のサブタイトル(副題)は、「エルビスという一人のアイコンの登場、転落、再生は、彼の死後40年経って、私たちがかつて何ものであったのか、そして今日私たちが何ものであるのかを語ってくれる」というものだった。

 米国と文化的土壌に共通項を持つ欧州にも、エルビス熱は確実に伝わっている。日本におけるエルビス研究の第一人者である、フェリス女学院大学名誉教授の前田絢子(まえだ・あやこ)氏は2018年1月に朝日カルチャースクール横浜教室で語った。「欧州においても、エルビスの存在の意味がすごく浸透している」と。

 前田氏が一例として挙げたのが、2017年11月下旬に英国で開かれた、生前のエルビスの歌声を含めた映像に合わせて、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が生演奏をする「夢の共演」の大成功である。

 「エルビスは困っている人、自由のない人、抑圧されている人たちに手を差し伸べ続けてきた人です。人間愛、友情が彼の音楽の中に満ち満ちている、それこそが彼の息が長い理由だと思う」と前田氏は語っていた。そしてエルビスの歌の今日的意味を考える上で重要な作品として「イフ・アイ・キャン・ドリーム」を挙げた。
 1968年6月にレコーディングされたこの歌は、公民権運動指導者のマーティン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」という有名な演説に応えたもの。同年4月にキング牧師が暗殺され全米で黒人暴動が相次ぐ中、追悼の意味もあった。

 「目の前の現実は厳しいが、夢を見る力さえ残されているならば、みな手をとりあって、平和と理解が生まれて、希望の輝きが降り注いで、魂が救済される日がくる」とエルビスがあたかも祈るかのように歌っている。

 前田氏は、「米国内だけでなく、世界中で殺し合いや対立が起こっている現代にも通ずる内容で、この歌の持つ意味の普遍性が再び脚光を浴びている」と語っていた。

 いわんや「Black Lives Matter」(黒人の命も大切)運動が高まっている今日においてをや・・・だ。

文・桑原亘之介

全国選抜小学生プログラミング大会
新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ