生活情報のコラム

目指せ神宮、学童野球日本一への道 40年の重み、マクドナルド・トーナメント

神宮球場での開会式(第39回)
神宮球場での開会式(第39回)

 〝小学生の甲子園〟と呼ばれ全国の野球少年が憧れる高円宮賜杯全日本学童軟 式野球大会マクドナルド・トーナメント。今年で40回目となる伝統の大会だが、 新型コロナウイルス感染防止のため今回は中止された。例年、神宮球場で行われ る開会式の入場行進は、憧れのプロ野球の舞台に立つ喜びにあふれ、子どもたち にとって一生の思い出となる。大会が一休みとなったのを機に、歩んできた道を 振り返ってみよう。

▽第1回優勝は青森代表

第1回大会で打席に立つ船水さん(背番号10番)(船水良之さん提供)
第1回大会で打席に立つ船水さん(背番号10番)(船水良之さん提供)

 学童のための全国大会をということで大会は創設され、1981年に東京都の 駒沢球場を会場に第1回大会が開催された。出場はブロック予選を勝ち抜いた1 6チーム。初代チャンピオンに輝いたのは青森県、岩手県、秋田県の北東北ブロッ ク代表の大鰐クラブ(青森)。捕手で主将だった船水良之さん(51)は「初め ての東京への旅行だったし、全国大会ということでとにかく緊張していた」と当 時を思い返す。だが、1回戦で徳島県のチームに勝つと肩の力が抜け、準々決勝、 準決勝と勝ち上がるにつれ「負ける気がしない」と自信が生まれ、決勝では早田 クラブ(岐阜)を3―0で下した。監督から「練習したことが試合でできたら、 日本一になれる」と言われたそうだが、試合を経るごとに気持ちに余裕が生まれ 自信が膨らんでいくあたりは、いかにも小学生らしい。船水さんはその後、高校、 大学では硬式野球でプレーし、社会人になってみちのく銀行で再び軟式野球に。 最後は監督を務め44歳で退いた。「長く野球を続けてきた中で、原点とも言え るのが学童大会でした。今となっては楽しい思い出しかない。ずっと続いてほし い」と願っている。

▽楽天則本は連続出場

 大会はその後、年ごとに開催地が変わり、出場チームも16から27、48と 増え、全国大会として内容が充実していく。大きく飛躍したのが開催地が茨城県 に固定した第10回大会以降。大会の特別協賛も第13回から日本マクドナルド になり運営を支え、第17回からは高円宮杯も授与されるようになった。47都 道府県代表の49チーム(北海道、東京は2)に開催地代表、前年度優勝の51 チームによる大会の形式が固まり、日本一を争うのがマクドナルド・トーナメン トと全国の子どもたちの間で定着した。

楽天・則本投手
楽天・則本投手

 楽天のエース、則本昂大投手は多賀少年野球クラブ(滋賀)所属で、3年連続 で全国大会出場を果たした。「あのころは全国大会に出ることが目標で、毎日、 父と練習をしていた」という。ただ、初めて出場した時は「先輩に連れていって もらった」という感じだったが、上級生になると自分の力でと意識した。「学童 軟式大会は楽しい思い出で、今でも自分の財産。全国大会に参加できたからこそ、 今のプロである自分があると思っている」と感謝する。

▽一生の思い出、神宮で行進

第1回大会 から審判、役員で関わってきた牧野勝行さん
第1回大会から審判、役員で関わってきた牧野勝行さん

 第1回から審判員、大会役員として関わってきた牧野勝行さん(75)=東京 都軟式野球連盟専務理事=は「ここまで大会が大きく成長するとは思わなかった。 全国の軟式野球関係者の献身と、スポンサーの協力が不可欠だった」と振り返る。 と同時に大会の認知度が高まるにつれ、参加者から全国大会はやはり東京で開催 してほしいという希望が増えてきた。そこで2009年の第29回から東京開催 に移行。東京に移す以上、主会場は「プロ野球の舞台で」ということで、神宮球 場に決まった。牧野さんは「子どもたちにとって神宮球場での入場行進は一生の 思い出。保護者の皆さんは応援と同時に、東京見物を楽しみにしているようです」。 時代の移り変わりが垣間見えるエピソードだ。

オリックス・山本投手
オリックス・山本投手

 神宮球場の入場行進を経験した一人が伊部パワフルズ(岡山)所属で、現在の オリックスのエース、山本由伸投手。「当時、プロ野球の舞台に立てるのは学童 大会しかなく、みんなで神宮で頑張るぞと話していた。全国大会に出場できると いうのでわくわくしていたし、実際に神宮球場を行進した時は本当に心からすご いと思った」と当時の感激を明かした。

▽原点は学童野球

 1990年代半ばころには全国で1万8000チームが予選に参加したことも あったが、少子化やスポーツの多様化によって現在、軟式野球連盟登録の学童の チーム数は1万1000。野球人口の減少にどう向き合うかは連盟関係者や指導 者にとって差し迫ったテーマだ。手軽に楽しむことができる軟式野球は「生涯ス ポーツ」と力を込めるのは全日本軟式野球連盟専務理事の小林三郎さん。野球を 始めた子どもたちが途中でやめないよう、今後は技術的にも医学的にも目配りす るよう指導者の意識改革を全国で進めていくという。連盟として「楽しく安全な 野球を目指していくのが責務」と強調する。

 神宮球場が2020年東京オリンピックの施設として使用されるため、今年の 学童大会の主会場に予定されていたのは新潟市のHARD OFF ECOスタ ジアム新潟(新潟県立野球場)だった。オリンピック延期の影響で来年夏も新潟 市が主会場になるが、その先は「必ず神宮に戻します」と小林さんは約束する。 学童野球はなぜ大切なのか。「野球は軟式に始まり軟式で終わる。学童野球はそ の原点」。船水さん、牧野さん、小林さんの3人とも、同じ理由を挙げた。

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