生活情報のコラム

一つ一つのセリフからにじみ出る哲学 『頑固じいさんとしあわせな時間』【コラム 映画再見】⑨

イメージ
イメージ

 とにかく台詞がふるっている。どこにでもある日常の中の何気ない一言にスパイスが効いていて、時に涙がこぼれるような哲学が詰まっている。フィンランド映画『頑固じいさんとしあわせな時間』(ティーナ・リュミ監督、2018年)を見ていると、心の波が凪いでいく。

 妻に先立たれた一人の老人。ぶっきらぼうな物言いと自分を曲げない頑固な性格で、葬儀に集まった家族とも疎遠。息子とは犬猿の仲だ。もう妻を追って死にたいと自分の棺づくりを始めたところに、その息子の娘、つまり彼の孫娘であるソフィアが転がり込んでくる。

 エリート大学で将来有望なソフィアが、田舎の古い一軒家に一人でやってきたことに困惑する祖父だが、「お金はいらない。安らぎがほしい」というソフィアを受け入れ、亡き妻を思い出すだけの感傷的な生活が少しずつ揺らいでいく。

 国を問わず、誰もが思い当たる親子の相克、嫌悪、そして言葉にならない愛情が、フィンランドらしい風景や文化の中に織り込まれ、森の中で出会う不思議なタイ人たちが、物語を少しだけ寓話にする。

 自分で収穫するジャガイモを食べる祖父とは対照的に、あれこれ加工品を買い物するソフィアが、スーパーでカートの中身を見た祖父のかかりつけ医に、「なにか持久力が必要なスポーツをやってるかね?」と聞かれた時の答えは秀逸だ。「人生をやってるわ」。同じ立場に置かれたら言ってみたい、と思うようなセリフが満載だ。オンラインで開催中の「EUフィルムデーズ2020」 で鑑賞できる。

Text by coco.g

全国選抜小学生プログラミング大会
新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ