生活情報のコラム

【コラム 映画再見】⑤ 家庭内暴力と子どもの苦悩を描く『ジュリアン』

(C)2016 - KG Productions - France 3 Cinema
(C)2016 – KG Productions – France 3 Cinema

 家族全員の在宅時間が長くなり、元々家庭内暴力の芽があった家族で問題が表面化している。夫婦間はもちろん、子どもがいれば傷はさらに大きい。暴力が原因で離婚した後の夫婦と子どもの関係を描いた『ジュリアン』(2017)は、淡々と経緯を追うフランス映画らしい構成が、当事者の恐怖や哀しみを際立たせている。法的な権利と命の保護の境界線は、国を問わず大きな問題だ。本作は、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。

 夫アントワーヌと離婚したミリアム。11歳の息子ジュリアンは、父親の暴力を恐れて会うことを嫌がっているが、離婚調停の結果、親権は共同となった。週末の面会でジュリアンは父親と過ごすことに。祖父母と一緒でも、会話は切れる寸前の糸のように緊張し、ジュリアンをさいなむ。引っ越し先を聞き出そうとする父親から母親を守ろうと、うそをつき逃げ惑う子ども。ストーリーが進むにつれ緊張感は増し、ラストの場面まで公的機関の介入がないことに見る側はいら立つ。

 だが、実際には私的な空間で起きることに、公的機関が明確な証拠がないまま介入することはためらわれる傾向にあるのも事実。事件が起きてから振り返って非難するのは簡単だが、現場で判断する側も慎重さを求められながら、危機を見抜いて介入するという“離れ業”を求められている。行政への期待と共に、周囲の人々とのコミュニケーションの維持も大きな助けになると、エンドロールの直前で思い知らされる作品だ。

Text by coco.g

新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ