生活情報のコラム

マンガの聖地・豊島区に巨匠たちの記念館 お隣にカフェ・物販併設の「ふるいち トキワ荘通り店」オープン

ときわ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国は、医師と対面せず電話やインターネットなどの通信手段を利用した「オンライン診療」を初診から解禁することを検討しているようだ。院内感染や患者が殺到する医療崩壊を防ぐ狙いとみられるが、その前に諸外国と比べて極端に少ないコロナウイルス検査数を飛躍的に向上させないことには、オンライン診療の効果は半減だろう。より求められるのは極力対面を避けた簡易な検査能力の向上である。

 手塚治虫の人気漫画「ブラック・ジャック」の「U—18は知っていた」と題する1話は、オンラインどころか、医師が一人もいない世界を描いている。

 アメリカの大病院。そこでは診察、手術、看護など医療はもちろん、事務を含む病院運営の一切を、1台のコンピュータ「U—18」が司っている。医師・看護師はゼロ。いるのは入院患者963人の様子を写したモニターがずらりと並ぶ中央管理室に陣取る技師たちのみ。U—18がロボットを使い手術、注射、看護、薬の処方などすべての医療サービスをこなす。これなら院内感染は起こらないだろう。

 この漫画が発表されたのはいまから50年近く前の1976年(少年チャンピオン)。現在の医療はまだこの世界を実現していないが、医療現場でのAI(人工知能)活用は徐々に広がっている。漫画は、回線の故障で医療放棄の反乱を起こしたU—18がブラック・ジャックの「手術」(修理?)を受け「全快」したが、結局“引退”して終わる。ブラック・ジャックのような人間の医師にはかなわないと思ったからだ。

 U—18の「引退の弁」に手塚のメッセージが込められている。「人間ヲ治スノハヤッパリ人間ニシカデキナイ…ワタシハタダ“機械ノヨウニ”患者ヲ診察シナオスダケダッタノデス」。

 映画好きの手塚は、コンピュータが人間に対して反乱する名作映画、例えばスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968年)、ジョセフ・サージェントの『地球爆破作戦』(1970年)などはもちろん見ているだろう。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)、カレル・チャペックの『ロボット』(1920年)などの文学を読めば、18世紀の産業革命以来の「科学」の暴走に、一部の人間は早くから恐れをなしていたことが分かる。

 ブラック・ジャックは現代に通じる医療の問題、時には暗部を描いている。巨額の医療費を患者に請求するブラック・ジャック自身が金権医療の象徴であるし、安楽死専門の医師ドクター・キリコの登場で深まる「脳死」のテーマ、大病院長のイスをめぐり、山崎豊子の『白い巨塔』(山本薩男監督の傑作映画もある)のような金権選挙が展開される「六等星」など、医療界に対する医学博士手塚のメスが遺憾なく発揮されている。

 その漫画の神様・手塚が、「ドラえもん」の藤子不二雄や「サイボーグ009」の石ノ森章太郎、「天才バカボン」の赤塚不二夫など“漫画の天才たち”とともに過ごし、切磋琢磨して今日の日本のマンガ文化を築いた青春の舞台として知られるのが、東京都豊島区にあった有名な「トキワ荘」だ。

 そのトキワ壮を記念して豊島区が区内に建てた「トキワ荘マンガミュージアム」が、今後オープンする予定だ。新型コロナウィルスの感染拡大のため開館時期が延び延びになっているが、お隣に民間企業が建てた「ふるいち トキワ荘通り店」は一足早く3月13日にオープンしている。

 この店は、不動産会社ジェクトワン(東京)と古本事業を展開するテイツー(岡山市)が設立。手塚や藤子不二雄、石ノ森章太郎らのコミック本や関連書、キャラクターグッズなどを販売する。カフェスペースなど漫画ファンが集える憩いの空間もある。

 コロナの終息はまだまだ先になりそうだ。現在の医療問題に早くからメスを入れた手塚のブラック・ジャックなど、トキワ荘に集った天才たちのきら星のような作品を読む時間はたっぷりある。

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