生活情報のコラム

2020は“ええじゃないか”の年!? 「豊橋まつり」でオリパライベント同時開催

「東京2020 Let's 55~レッツゴーゴー」で空手を体験する子どもたち
「東京2020 Let’s 55~レッツゴーゴー」で空手を体験する子どもたち

 バイク好きの祭典「鈴鹿8耐」(三重県鈴鹿市で毎夏開かれるオートバイ耐久レース)を“現代の若者のお伊勢参り”と例えたのは、作家の五木寛之氏。最盛期15万人を超える若者らがバイクなどに乗って続々と会場の鈴鹿サーキットを目指す姿を、江戸時代に周期的に起こった伊勢神宮への群参(集団参詣)になぞらえた。

 この伊勢神宮への集団参詣は「おかげ参り、抜け参り」とも言われ、1705年、1771年、1830年、1867年に起こった。米国で吹き荒れた「マッカーシズム」の犠牲者であるカナダの外交官にして歴史家のE.H.ノーマンは、この1世代ごと1度ずつ噴き上がる間欠泉的なこの現象を、ヨーロッパ中世の「ハーメルンの笛吹き男」の伝説などと比較しながら「マス・ヒステリア(大衆狂乱)」(岩波文庫「クリオの顔」)と論じた。

 特に幕末期の1867年に生じた最後のものは、倒幕の世相も受けて世直し的な大衆の集団乱舞「ええじゃないか」に発展し、「ええじゃないか、ええじゃないか」と踊り歩く大衆狂乱を各地に発生させた。

 東海道五十三次の一つ「吉田宿」(愛知県豊橋市)は、伊勢神宮のお札が天から降って始まったとされる、この「ええじゃないか」の発祥地の一つとされる。その伝承をもとに1954年から豊橋市で開かれているのが「ええじゃないか豊橋まつり」で、今年も10月19、20の両日、市内中心部で盛大に開催された。

豊橋市内にある「吉田宿」の石碑。江戸時代、大勢の庶民が憧れの伊勢参りのためこの場所を通り過ぎ、また幕末期には「ええじゃないか」と叫びながら乱舞する人々の声が鳴り響いた
豊橋市内にある「吉田宿」の石碑。江戸時代、大勢の庶民が憧れの伊勢参りのためこの場所を通り過ぎ、また幕末期には「ええじゃないか」と叫びながら乱舞する人々の声が鳴り響いた
「豊橋まつり」で披露された現代的な踊り
「豊橋まつり」で披露された現代的な踊り

 この豊橋まつりと併せて来年の東京オリンピック・パラリンピックの機運を盛り上げるイベント「東京2020 Let’s 55 ~レッツゴーゴー」も豊橋市内で同時開催された。

 オリンピック・パラリンピックの全55競技のうち新体操や空手、サッカー、野球、ソフトボール、バレーボール、ゴールボールなどの楽しさを味わえる催しで、初日の19日はあいにくの雨にもかかわらず大勢の親子連れらでにぎわい、「豊橋まつり」との相乗効果を生み出していた。

野球の面白さを体感できる「ストラックアウト」に挑戦する子ども
野球の面白さを体感できる「ストラックアウト」に挑戦する子ども

 新体操と空手は、若い選手たちが本格的な演技や技を披露し、その美しさや迫力で来場者を魅了した。

美しい新体操の演技
美しい新体操の演技
迫力ある空手の形の披露
迫力ある空手の形の披露

 レッツゴーゴーのPRセレモニーには豊橋市の佐原光一市長や東京2020組織委員会の山本隆副事務総長、共催した野村ホールディングスの古賀信行会長、女子バレーボール日本代表の中田久美監督らが出席し、来年のオリパラへの期待を述べた。ええじゃないかと同様、豊橋が発祥の地といわれる「手筒花火」を模して、佐原市長らが空中高く黄金色の“紙飾り”を飛ばす「余興」もあり、集まった子どもたちを喜ばせていた。

空中高く舞い上がる手筒花火を模した紙飾り。右端は豊橋市の佐原光一市長、左端は女子バレーボール日本代表の中田久美監督
空中高く舞い上がる手筒花火を模した紙飾り。右端は豊橋市の佐原光一市長、左端は女子バレーボール日本代表の中田久美監督

 五木寛之氏が鈴鹿8耐を例えた「お伊勢参り」が、江戸時代の庶民に爆発的に広がったのは、近世の「御師」(おし、おんし)の存在が大きかった、といわれる。参詣者の宿や食事を世話したり、伊勢神宮のお札を各地で配り歩くなど伊勢神宮を“PR”した。現代で言えば、旅行会社やPR会社、参拝者をもてなすボランティアの役割を兼ねたような人たちだった。

 この日のレッツゴーゴーも含め、来年の東京オリパラを盛り上げる「現代の御師」たちも様々なPR活動をしている。

 福島県を皮切りに来年3月26日始まる全国縦断の「オリンピック聖火リレー」もその一つだ。御師が各地で配り歩いた伊勢神宮のお札のような宣伝効果が期待されているだろう。

 レッツゴーゴーの会場にはこの聖火トーチの実物が飾られ、多くの子どもたちが手に持って記念写真を撮るなど興味を示していた。

聖火トーチを持ちポーズを取る子どもたち
聖火トーチを持ちポーズを取る子どもたち

 さて、来年の東京オリパラは「現代のお伊勢参り」と言えるような“盛り上がり”、あるいは「現代のええじゃないか」と言えるような“熱狂”を生み出すのだろうか。日本が驚異的な高度経済成長という一種の経済的な“お祭り騒ぎ”のただ中にあった56年前の前回東京五輪当時とは、今回は明らかに時代が異なる。

 男女マラソン、競歩の札幌への会場変更など当初計画の“甘さ”はいま“苦い後味”に変わっている。東京オリパラを担う現代の御師たちは「真のおもてなし」を“過去の御師”にもっと学ぶべきかもしれない

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