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【コラム】飾らない食卓に宿る記憶 映画『お料理帖 ~息子に遺す記憶のレシピ~』

(C)2017, ZOA FILMS, ALL RIGHTS RESERVED
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 言葉は記憶の底からたぐり寄せられる。認知症の母親の話は支離滅裂のようだが、彼女の中では完結している。会話する息子が、母親のすべてを知らないというだけだ。だが、母親が書き留めていた一冊の料理帖が、親子が共有する記憶の土台を掘り起こす。韓国映画『お料理帖 ~息子に遺す記憶のレシピ~』が公開されている。

 惣菜店を切り盛りしながら、二人の子どもを育てたエラン。息子のギュヒョンは万年非常勤講師。大学教授の職を求めながらもなかなかポストを得られず、妻にも頭が上がらない。エランはそんな息子を叱りつつも、店を回しながら孫の食事やおやつの世話をする。だが、調味料の分量を忘れ、物の置き場所を忘れるようになって認知症が発覚。店を畳むことに。

 ぼつりぽつりと訪ねてきては閉店を嘆く客。「おばあちゃんが作ったおにぎりが食べたい」と言う子どもたち。知人の話を聞いてようやくエランのレシピ帖を見つけたギュヒョンは、なぜその材料や作り方なのか、添えられた母の言葉の中から自身の記憶を拾い上げる。

 何も言わずに作った母、何も言わずに食べた息子。だが、母親の料理が家族の身体と時間を作り、彼女が試行錯誤してたどり着いたその味が、家族の記憶を語る言葉になる。飾らない食卓に宿っていたのは、家族の平穏を支えた母親の力。それに気付いたギュヒョンの決意に応える時のエランには、認知症の影は見えない。

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