生活情報のコラム

さいたま市の魅力と課題ってなんだろう? 埼玉に“翔んだ”筆者が市民ワークショップに参加してみた

ワークショップの様子
■はじめに

 他県から“翔んで埼玉”して早数年。東京への通勤のしやすさからさいたま市に引っ越してきたものの、特に地元で何をするでもなく過ごしてきた“埼玉都民”の筆者。仕事でくたくたになって帰宅したある日、市役所から「これからのさいたま市を考える市民ワークショップ」の案内が届いた。どうやら無作為の抽選で選ばれた市民に送付されるものらしい。ここで暮らすほかの人たちはどんな生活をして、どんな思いを抱いているのだろうか、そしてさいたま市はどういう方向を目指しているのか。普段聞けないことを聞ける貴重な機会と思い、参加することに。以下、印象に残ったことをリポートしていこう。

■ワークショップに行って話し合ってみた

 8月18日に行われたワークショップには、約100人の市民が集まり、年代別に10のチームに別れて、理想のまちについて、そして10年後に理想のまちでどう暮らしたいかについて話し合った。20代の筆者は、10~20代の9人が集まった最年少チームに所属。メンバーは社会人、大学院生などで構成され、最年少はなんと高校生だ。このチームの参加者はおおむね、今のさいたま市での暮らしへの満足度が高く、遊び場もあれば緑もあり、都心へも通いやすい点が評価できるという意見が多い。一方で、改善してほしい点は、全員に共通するもの、住んでいる地区によって違うものなど、さまざまである。

 まず、さいたま市を理想のまちにするために、何を改善するべきか話し合うと、交通網についての意見が多数挙がった。「さいたま市は東京都には非常に行きやすく、電車の南北交通は充実しているけれど、常に大勢の人が乗っているので疲れる。混雑を緩和できないものか。それと、市内の東西交通があまりにも弱いので、動線を良くしてほしい」という声が上がると、賛成多数に。東西交通については、「同じ“浦和”でも、浦和から武蔵浦和や浦和美園に電車で行くのに何本も乗り換えが要る」など、不便さを指摘する声が相次ぐ。一方で、岩槻区などに住む人からは、「埼玉高速鉄道がこっちまで通る通らないという話があるけど、結局開通していない。岩槻から都心に出るには乗り換えが必要で大変」という意見もあった。これらについては、「政治家に声を届けて鉄道誘致をしてもらう、“我田引鉄”しかない」「そもそも東京に行かなくても稼げるような働き口が埼玉にあればいいのに…」といった解決策?が挙がった。

 また、自然・文化について、「大宮公園や見沼の桜並木など、知られていないけど遊びに行くのに良いスポットが市内には結構ある。東京の友達をさいたまに呼べるくらい、うまくPRしてもらえたら…」という意見や、「盆栽美術館や歴史と民俗の博物館、来年岩槻にできる人形博物館など、市内に博物館は点在しているけど、イマイチ行きにくい。周辺にご飯処などが少なく、寄り道を楽しめない」との声があった。これらの課題について市の職員は、「ぜひ皆さんにインフルエンサーになっていただいて、魅力を広めてほしい」との意向を示すも、参加者からは「インスタ映えするインパクトのあるスポットがない」「盆栽美術館など渋い魅力はあるが、パッと分かりやすいものではなく、SNSでの拡散には向かない」と言った反応が続き、一同苦笑い。そもそも、こういう施設に行ったことがない・知らなかったという人もおり、市内外へのPRと周辺環境の充実、アクセスの改善が必要だという話に。先の交通の課題と相まって、「例えば東京都のようにバスと電車が一日乗り放題の切符を作るなどして、市内の公園や美術館を少しでも周遊しやすくできれば」という改善策が出た。

 このほか、「さいたま国際マラソンのコースが地味すぎるので、景観をきれいにできないのか」という意見も。確かに、「公園もあって景観の良い大宮で開催してほしい」という声も聞くが、どうなのか。市の職員いわく、大宮には新幹線や交通量の多い道路が通っており、これらを大会のために止めることは不可能であるため、開催ができないという。そして、同大会は上位大会への選考会も兼ねているので、ランナーが走りやすい道を模索した結果、いまのコースになったのだそうだ。地味に気になっていたことだが、こういうやり取りひとつで、「そういうことだったのか」と解消することもある。

 そして、10年後の理想の暮らしについては、「きれいになった大宮の裏通りで飲みたい」「交通の便が良くなったさいたま市で、公園や美術館をめぐりたい」といった意見はあったものの、参加者の暮らしへの満足度がすでに高かったためか、「理想のまち」ほどに多様な意見は出ず。このチームには子育て中の人がいないこともあり、なかなか10年後のライフスタイルを想像しにくい様子で、おもに「市内移動がしやすくなった未来で、もっと気軽に市内を散策したい!」といった意見が多かった。

■集大成としての発表

 最後に、チームで話し合った成果をまとめ、全体に向けて発表する。このチームでは「点と線~さいたま市の魅力をつなげる~」をテーマにしたが、これに決まるまでは難航した。というのも、先述の「分かりやすい魅力の挙げにくさ」「現状への満足度の高さ」が引っ掛かり、「これだ!」というアイデアが出なかったのだ。最終的には、さいたま市には魅力的な場所があるけれど、分かりやすくインパクトの大きいものではないこと、そしてそれらがバラバラに点在しており、その場所や情報へのアクセスのしにくさが課題であるということ、そして人と情報だけでなく、人と人とをつなぐことも大切だという意味を込めて、「これらの“点”を“線”にしてつなげよう!」という発表になった。ちなみにこのテーマは、言わずと知れた松本清張の著作から引っ張ってきたものだが、「最年少チームからこの昔懐かしいタイトルが出るのか…!」と会場は少しザワついた。発表は高校生にして自らチームリーダーを引き受けてくれたメンバーが行い、滞りなく終了。他チームの発表については、自チームの対極とも言える最年長チームの発表が印象的で、70代の元気なおじいさんが「私どものチームでは、10年後まだ元気にしておるか分りませんが…」などとおちゃめな口上で話し始めると、荒川河川敷の有効活用や、高齢者のみならず同世代同士の交流の場が必要ではないかといったことを発表した。

 活動を通して、チームメンバーたちからは、「普段知り合うことのない人たちの意見が聞けて良かった」「さいたま市について、知らなかったことを知ることができた」「(他チーム発表者の)年長者の語彙(ごい)力はやっぱりすごい。見習いたい」といった感想が挙がり、わきあいあいとした雰囲気の中でワークショップは幕を閉じた。

■終わりに

 普段、住んでいる自治体について、「こんな風にしてほしい」「どうしてこうなんだろう?」と思うことはあっても、なかなかそれを直接行政に伝える機会は少ないし、自治体の今後を自分たちが担っていくという意識も薄い人が多いだろう。こうしたワークショップなどにはなかなか行きにくく、どれだけ自分たちの意見が生かされるのかは分からないけれど、参加してみると自分が市政の当事者なのだという意識が芽生えるし、自治体の職員がどういう思いで働いているのか知るきっかけにもなる。日頃、埼玉都民として生活し、地元を顧みることが少ない筆者であったが、さいたま市を自分の街として見つめ直し、「さいたまらしさって何だろう?」と考える良い機会となった。さいたま市公聴課では、タウンミーティングなどのイベント案内もしているので、興味のある人はのぞいてみては?

文・写真:織部弓槻


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