生活情報のコラム

平成時代に家庭の夕食は様変わり!? クリナップが「キッチン白書」で昭和と比較

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家庭の夕食は昭和と平成では様変わり。左が昭和、右が平成を表すメニュー。クリナップ「キッチン白書2019」より

 昨今の「日本すごい!論」は夜郎自大気味で“井の中の蛙の歌”に聞こえてくるが、ユネスコの世界遺産に登録された日本人の伝統的な食文化「和食」の場合は、声を大にして「誇る」より「守る」ほうが大切だ。各種データは、この伝統的文化から肝心の日本人が離れつつあることを示している。

 例えば「食料自給率」の低下。農林水産省の「食料需給表」によると、2017年度は38%(カロリーベース)。およそ50年で半減し、世界遺産登録(13年12月)以降も減少傾向は続く。多様で新鮮な“地のモノ”を生かしてこその和食だが、土台は揺らいでいる。

 食料自給率の低下は、家庭の食卓に並ぶメニューの変化にも表れている。

 キッチンメーカーのクリナップ(東京)は、MRSメニューセンサス1978-79年から2017-18年調査(夕食)の結果をもとに分析し、首都圏一帯の1,000世帯の“主婦”を対象に毎年アンケートを実施し、その結果を「キッチン白書」で発表している。調査地域は首都圏一帯、対象者は1,000世帯の主婦である。

 最新版の白書(2019年2月発表)によると、昭和の終わりから平成のおよそ30年間にかけて、家庭の夕食として食卓に上る回数は、プリンやゼリー、ヨーグルトなどの「冷菓」が約4倍、ピザやお好み焼きなどの「粉料理」が約3倍、「スパゲティ・マカロニ」が約1.5倍にそれぞれ増えている。冷菓の一部や粉料理、スパゲティ・マカロニの原料は輸入されている場合が多い。

 一方、果実や魚介類、野菜の煮物、漬物、すまし汁などのメニューが食卓に上る回数は同期間、逆にぐんと減っている。

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平成の食卓に「冷菓」が上る回数は昭和の4倍=「キッチン白書2019」より。

 昭和と平成の典型的な夕食を並べれば、大きな違いが見られるだろう。

 和食の基本形は、いわゆる「一汁三菜」。その“メンバー”は、だしのうま味を生かした「汁」に、焼き魚や煮物、おひたしなど3つの「菜」(おかず)、そして数えるまでもない「ご飯」と口をさっぱりさせる漬物「香の物」で構成される。

 魚介類や野菜の煮物、漬物、すまし汁などの構成メンバーが、一人抜け、2人抜け…して一汁三菜の“フルメンバー”がそろう機会は減っている。それどころか「不動のセンター」ともいうべき「ご飯」さえ欠けることも増えている。

 博報堂生活総研が毎年発表している「生活定点」調査(首都圏と関西圏の20~69歳の男女およそ3,000人が対象)の最新版(2018年)によると、「1日に1度おコメを食べないと気がすまない人」の割合は47.9%。和食の世界遺産登録前年の12年に比べおよそ10%減。和食の基本形は“型くずれ”を起こしつつある。

 世界遺産への登録を申請した農林水産省が和食の特長として強調する、日本人が「第5の味覚」として世界に先駆け発見した “だし”のうま味も、汁や煮物の減少に伴い、その繊細な味を発揮する機会が失われつつある。

 このようにいたるところで日本人の和食離れを告げる“サイン”が灯っている。さらに深刻なのは家庭で調理する機会がすこぶる減っている現実だ。

 和食は“抜け殻”を見ていとおしむのではなく“実践”して親しむもの。次代の和食を担う子どもたちが日常生活の中で、和食を生み出す調理の現場を目にする機会が減ってしまう弊害はけして小さくないはずだ。

 先の「キッチン白書」によると、食卓に上るメニューは昭和の終わりに比べ、平成は「炒め物」を除き、「漬け物」「焼き物」「煮物」「揚げ物」「和え物」のいずれのメニューも、手作り、出来合いなどの調理形態にかかわらず、回数が減っている。特に「漬物」は半数以下の大幅減だ。

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漬物が食卓に上る回数は、平成は昭和のおよそ3分の1に激減=「キッチン白書2019」より。

 さらに料理に関する同白書の調査では、「正直に言うと料理は好きでない」とする回答が33.9%に上る。年代別に見ると60代が最も低く28.2%。最も高い30代は42.5%に達し、半数近くが「料理が好きでない」との結果が出ている。

 性別で家事育児の役割を固定する考え方の変化や共働き家庭の増加など「料理」を取り巻く環境の変化が世代間の考え方の“差”となって表れているのかもしれない。

 世界遺産登録が和食を見つめ直す機会になったことは間違いないが、平成の各種データにはまだその“効果”は表れていない。令和にかけての次の変化に期待したい

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