生活情報のコラム

思考を奪う“衝撃と畏怖” イラク侵攻時の報道を描く映画「記者たち」

(C)2017 SHOCK AND AWE PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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 元号で振り返る「時代」は日本人だけのものだが、それでも平成はどんな時代だったかを考える時、911(アメリカ同時多発テロ)は外せない。あの日を境に、米国だけでなく、世界中の精神的な地図が塗り替えられてしまったからだ。過去の恐怖に培われた未来への不安は、平常時ならあり得ない出来事を見過ごし、妄信させる負の力を生む。そうした負の力を最も忌避すべきメディアのほとんどが引きずられていく様子と、最後まで戦った数少ない人々を描いた映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』が公開された。

 原題“Shock and Awe”(衝撃と畏怖)は、イラク侵攻時のアメリカの軍事作戦名。戦略に対抗する時間を相手に与えず、その意欲をくじいて瞬時に優位に立つという「衝撃と畏怖」的手法は、遠い戦地での作戦だけでなく、米国内の世論操作にも当てはまる文脈だったのだと実感できる。慎重な調査と分析、思考力を奪い、イラクの大量破壊兵器の保持、という今もって誰も証明できないイラク侵攻の大義名分を正当化する。911後のアルカイダへの報復、そのためのアフガニスタンへの攻撃が、なぜかイラクを標的にした侵攻に変化し、その道を突進する米政府。疑義を抱く人は少なくなかったが、ノーと言えた人はメディアを含めて少数だった。「空気にのまれる」という状態を客観視している作品は、過去の苦い歴史から我々はまだ多くを学べていないのだという自省を促す。

 次々と奇抜な政策を繰り出す現トランプ政権に慣れっこになりつつある我々に、デジャブな感覚を起こさせるのがさらなる恐怖をあおる。今週末封切られる『バイス』が、今度は政権側の“内幕”を見せてくれるだろう。

text by coco.g


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