生活情報のコラム

「まさかの事故」は突然に 経験者が語る自転車保険未加入の後悔とは…

Bicycle after accident
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■加害者、被害者どちらにもなりうる

 スマホを見ながらの運転、二人乗り、飲酒運転の禁止など、安全のためのルールを守らない運転は、死を招くこともある。交通量の多い車道の端を走る自転車は弱者の立場だが、住宅街では歩行者にとっての危険な存在となることも少なくない。

 警察庁のサイトによると、2017年中の自転車関連事故の件数は、90,407件。2007年以降のデータでは、自転車関連事故の件数は減少傾向だが、全交通事故に占める割合は、約20%前後で横ばい傾向が続いている。「ながら運転」による交通事故も後を絶たないという。「~しながら」ではなく、真剣に自転車をこいでいても自損事故で深刻なけがを負うケースもある。

■目の前にダンプカーが…

 都内在住の男性、Wさん(48歳)。4年前の4月1日の朝のトレーニング中、「エイプリルフールか?」と自分に突っ込みを入れたくなる目に遭遇した。ロードバイクで時速40~50キロを出し、杉並区内の井ノ頭通りを走行中、前を走っていた乗用車のブレーキランプが、信号手前で点滅。その車の脇に入ろうと、左側に針路を取ったWさんの目の前に飛び込んできたのは、路上駐車をしていたダンプカーの後部だった。「結局はボーっとしていたんでしょうね」と振り返るWさん。自転車ごとダンプカーにぶつかりはしたものの、転倒していなかったこともあり、事故直後、そのままその場を離れようかとも思ったというが、それはあまりにもかなわぬ現実逃避だった。

 ふと目を下にやると、あらぬ方向を向き、みるみるうちにはれ上がっていく左足。ダンプカーの運転手とやり取りをし、119番のあと、救急車で事故現場から約2キロメートルの総合病院へ。左足はひざのじん帯4カ所を損傷し、肋骨にひびも入っていた。どこまでも現実を信じたくなかったWさんは、松葉杖で電車に乗っての自力帰宅を試みるが、診察が終わったと同時にようやくホッとしたからか猛烈に襲ってきた痛みのため、断念。約5キロメートル離れた自宅までタクシーで帰った。

■手術、リハビリ…予想以上の出費に落胆

 まずは足のはれが引かないと処置ができないということで、当面の生活を支えるために作ることになったギプスの計15万円ほどは、現金払い。事故から半年以上たった11月にようやく行ったじん帯の再建手術は、1週間程度の入院、全身麻酔で7時間に及んだ。このときの治療費は、健康保険の3割負担で70万円程度、高額医療費の支給制度を使っても、20~30万円の負担があったという。

 Wさんの場合、自転車事故について、「他人にけがをさせてしまったようなケースや、自分の家族がけがをした場合の保証は、加入している自動車保険の付帯特約で入っていました。でも、自分の自転車事故によるけがは、対象じゃなかったんです」と話す。自動車保険だけでなく、加入している生命保険、医療保険などについても調べてみたというが、自転車事故の自分のけがに対する保障はなかったという。

■もしも保険に入っていれば…

 (株)共同通信社が昨年12月、全国の20~60代の男女310人に行った自転車の安全運転に関するアンケートでは、万が一自転車事故を起こしてしまったときの保険に加入している人は、3割程度にとどまった。

 Wさんが事故後、自転車事故に関しいろいろな保険を比較してみたところ、1カ月あたり数百円という負担額は大差なかったとい、同じ自動車保険の、自分のけがに対する特約も付けたという。当初からもし付けていれば、事故当日のタクシー代、通院の交通費含め、健保の範囲を超えて自費でリハビリを受けたとしても、恐らく全部カバーできたのではないかと話す。また、15万円ほどのドイツ製のロードバイクは、廃車になった。フレームは歪んでおらず、衝撃はタイヤで吸収できたようにも見えたが、やはり、事故車に乗る怖さもあった。自転車本体の物損にかかわる部分も、保険のかけ方しだいでカバーできるのではないかと、Wさんは話す。

 けがのあと、半年以上経ってからの手術。そして、手術後のリハビリは、健保の適用範囲内でできるのは半年まで。労災適用や自転車事故に関する保険に入っていれば、もう少し手厚く、まめにやってもらうこともできたのかなと考えているWさんだ。今ではスキーもできるほどに回復し、運動に制限もないが、痛みには敏感になり、正座がしにくいことなどがあるという。

■1にも2にも安全運転、そして、もしもに備えた保障を

 Wさんの場合は、路駐していたダンプカーに自分で激突。路駐をしていた側の非については、「あまりにも自分に非がありすぎて…」と、事故直後にお互いの連絡先を一応交わしはしたが、特に相手の責任を問うことはしなかったという。

 停車しているとはいえ、時速40~50キロでダンプにぶつかったにしては、軽傷と思えるケースかもしれない。しかしWさんは事故数日後、ヘルメットの後頭部に、鉄製のものがめり込んだような穴が開いていることに気付いた。「下手したら、俺、死んでたな…」。事故当時、はめていたグローブはビリビリになっていたが、手は、擦過傷で済んだという。Wさんは、ロードバイクなどでそれなりのスピードで走る人は特に、身を守るためのものを着用することも必須だと感じている。また、普段、信号無視や斜め横断など、マナーの悪い自転車を見かけることも少なくないといい、「よけてくれるだろう、という甘えがあるのかもしれないが、事故が起きてしまってからでは取り返しがつかない」と話す。

 気を付けていても、事故を起こしてしまったり事故に巻き込まれたりする可能性はゼロにはできない。自転車事故による高額賠償請求事例も、近年全国で発生し、自転車事故のリスクに備える自転車保険への加入を義務付ける自治体も出てきている。事故防止と、事故が起きてしまったときの対応の、両方の側面から備えたい。


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