生活情報のコラム

3秒毎に見える心の動き 映画『ぼくの名前はズッキーニ』

(C)RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016
(C)RITA PRODUCTIONS / BLUE SPIRIT PRODUCTIONS / GEBEKA FILMS / KNM / RTS SSR / FRANCE 3 CINEMA / RHONES-ALPES CINEMA / HELIUM FILMS / 2016

 虐待や移民の親の強制送還など、さまざまな事情で施設で暮らすようになった子供たち。その心の動きを鮮やかに描いた、『ぼくの名前はズッキーニ』の上映が始まった。人形を使ったストップモーション・アニメーションの温かさと朴とつとしたセリフは、困難に立ち向かう子供たちに向けたエールでもあるが、人形がフレームごとに刻んでいく気持ちの動きは、緩やかでありながら鮮烈。大人の心もわし掴みにする作品だ。

 ビールばかり飲んでいる母親を、誤って死なせてしまった9歳のイカ―ル。施設に行っても、ママが彼を呼ぶ時に使っていた「クルジェット(ズッキーニの意)」という愛称を大事にし、ビールの空き缶と、父親を描いた凧が宝物。そんなクルジェットを仲間に迎え入れる施設の子供たちも、肌の色から性格、抱える事情までさまざまで、現代社会の縮図のようだ。

 54体の人形を使い、3秒ずつのリズムで8か月以上の時間をかけて撮影を重ねた70分。フレームごとに少しずつ位置を変えてできる映像の流れは、絶えず呼吸するヒトの動きではないからこそ、その3秒ごとに微妙に変化する子供たちの魂が一つずつ刻まれている。大きな目とまばたき、ぎこちない手の動き、少しだけ開いた口元が語る“その瞬間“の子供たちの気持ちがずっしりと響く。ストップモーション・アニメーションだからこそ、刹那ごとに写し取られた気持ちの緩急が、しっかりと観客に手渡される。

 それが最もよく表れた印象深い場面を一つ。子供たち全員で雪を見に出かけた先で、施設の男の子が他から遊びに来ていた女の子が貸してくれたゴーグルを試して笑い合うシーンがある。するとその母親がどこからか突然やってきて、「それは娘のよ、返しなさい」と有無を言わさずゴーグルをむしり取っていく。盗んだわけでも取ったわけでもなく、合意の上でちょっと遊んでいた、その事情を聞くこともせずに責め立てる一方的な大人の登場は、子供たちの世界に浸りほのぼのとした気持ちになっていた観客に、“大人の理不尽”を無情に突き刺していく。が、その直後、母親に手を引かれて去っていく女の子が、ウインクしながらそのゴーグルを無言で彼の足元に滑らせてくるのだ。理不尽とそれを包む愛、大人と子供の両極が、短い場面でジェットコースターのように流れていく。一瞬、止まったように見える2人の子供の表情が、理不尽に泡立った気持ちをきれいに癒してくれる。そんなシーンの連続だ。

 本作は、アヌシー国際アニメーションフェスティバルで最優秀作品賞、観客賞をW受賞し、セザール賞でも最優秀脚色賞、最優秀長編アニメーション賞を受賞している。

text by coco.g


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