生活情報のコラム

「日本イチゴ」をマレーシアで現地栽培! 地の利を生かしてシンガポールでも通年販売

 マレーシアの“賢人”マハティール氏が首相当時に掲げた「ルックイースト」。バブル経済崩壊がまだ先の1980年代初頭、「日本に学べ!」と語る賢人の言葉は、経済成長に酔う当時の日本人の自尊心に快く響いた。

 あれからもう30年余りが過ぎ、この間、急成長を遂げたお隣の中国がGDP(国内総生産)で日本を抜き、アメリカに次ぐ世界第2位の「経済大国」となった。醸し出す雰囲気が毛沢東になんとなく似てきた中国の習近平国家主席はアメリカンドリームならぬ「チャイニーズドリーム」を掲げ、中国経済隆盛の“動脈”となる「一帯一路」と名付けた壮大な陸海商業・貿易ルートの開拓に着手している。 インドネシア初の高速鉄道の建設計画受注合戦で、日本が中国に敗れたことは記憶に新しい。マレーシアやインドネシア、シンガポールなど東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国は、かつての中華帝国同様、「ルックノース」を無視できない時代になっている。

マレーシアのキャメロンハイランドで栽培されている日本品種(章姫)のイチゴ。
マレーシアのキャメロンハイランドで栽培されている日本品種(章姫)のイチゴ。

 マレーシアの首都クアラルンプールから北におよそ約150キロ。標高1,500mを超える高原地帯キャメロンハイランドでは、日本から輸入した苗がすくすくと育ち、真っ赤に染まっていくみずみずしいイチゴ(章姫)をハウス内に実らせている。その出荷量は年間およそ50トン。安定供給可能な量で、シンガポール伊勢丹などで一年中、販売されている。

 この日本品種のイチゴをマレーシアで栽培しシンガポールに出荷するビジネスを構築したのは、バイオテクノロジーや農業関連の事業を展開するバイオベンチャー企業のちとせグループ(川崎市)だ。苗から栽培方法まで日本のイチゴ生産システムそのものをごっそりマレーシアで再現している。

 もともとボルネオ(カリマンタン)島で2012年からイチゴを作っていた個人農家の木下恭亮さんと、浮草を活用した水浄化プロジェクトのため同島で活動していた、ちとせの社員、小池亮介さんが意気投合。日本に根付いている環境配慮型農業を現地で本格的に軌道に乗せたいと日本のイチゴ苗を輸入し現地栽培する計画を検討した。出荷先は高級食材の需要が旺盛なシンガポール市場に狙いを定め、“地産地消”の優位性を生かせる、イチゴの栽培適地を探した。

 選んだのが、標高1,500mの高地で一年を通じて栽培可能な気候に恵まれた、高級リゾート地としても知られるキャメロンハイランド。適度な涼しさや昼夜の寒暖差があり、高品質のイチゴを作れる環境にあった。距離的にもシンガポールに鮮度を保った状態でイチゴを直送できるぐらい近い。

東南アジアで環境配慮型の農業を目指す木下恭亮さん(左)と小池亮介さん。
東南アジアで環境配慮型の農業を目指す木下恭亮さん(左)と小池亮介さん。

 ちとせによると、シンガポールでのイチゴの値段(1パック)は、通年出回っているアメリカ産輸入イチゴが5ドルシンガポールドル以下(円換算約420円以下)。12~3月に出回る韓国産輸入イチゴが5~10シンガポールドル(同約420円~835円)。最も高い日本産輸入イチゴ(あまおう、とちおとめなど)は、25~50シンガポールドル(同約2,085~4,170円)のプレミア価格で12~3月に提供されている。

 地の利を生かした“現地栽培”でちとせが提供する日本品種(章姫)のイチゴ(商品名『ちとせいちご』)は1パック、15.9シンガポールドル(同約1,300円)で展開している。

 強みは通年での供給体制。安定供給を求める現地シンガポールのレストランや洋菓子店などにも販路を広げているという。

 2018年中に栽培面積を4ヘクタールに拡大、栽培地のマレーシアでも販売を開始する予定だ。さらにインドネシアなどほかの東南アジア諸国での栽培も検討するという。

 「日本イチゴ」の栽培ハウスがキャメロンハイランドに広がる光景をマハティール氏が見たら、さぞかし感慨深いものがあるだろう。


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