生活情報のコラム

この大会ならではの温かい雰囲気 “ジャパン パラ水泳”で日本の若手が活躍

パラ水泳055 会場に入ると軽快なロックミュージックがいきなり耳に飛び込んでくる。コンサート会場のような明るい華やいだ雰囲気だ。

 その大音量の音楽が止み、スターターの合図音が鳴り響くと、50メートルプールから一斉に水しぶきが上がる。音楽の音量を上回る観客の大歓声を受けて、目や耳、体の不自由な選手たちが最後の力を振り絞ってゴールにやってくる。どんなに遅れても最後の選手が到着するまで観客の声援は途切れない。そして最後にゴールした選手に対しての拍手が、ひときわ大きく聞こえるのは、“この大会”の持つ温かさなのだろう。

 東京辰巳国際水泳場(東京都江東区)で9月2、3の両日開かれた「ワールドパラ水泳公認 2017ジャパンパラ水泳競技大会」は、身体障害や知的障害を物ともしない選手たちの躍動した泳ぎと飛び切りの笑顔で観客を魅了した。

 ジャパンパラ水泳競技大会は1991年に始まり今年で27回目。今回初めて海外から選手を招き、大会の国際化と2020年東京パラリンピックに向け競技のレベルアップを狙った。

 海外選手は、いずれも世界指折りのトップ選手。招聘4人(スペイン2人、ニュージランド2人)に自主参加1人(スペイン)を加えた計5人の外国人選手が“世界の泳ぎ”を見せ、日本人選手を刺激した。

 女子100メートル平泳ぎでロンドン、リオと2大会連続の金メダルに輝き、女子200メートル自由形でもリオで5位入賞を果たしたスペインのミシェル選手(23)には最終日の3日、女子200メートル自由形で日本期待の北野安美紗選手(14)と井上舞美選手(18)が挑戦した。

 地元スペインで出身地の島にちなみ「テネリフェ島の人魚」の愛称で親しまれているミシェル選手は、そのあだ名通りの優雅で力強いストロークを見せ、日本人選手を圧倒して優勝。北野選手は2位、井上選手は3位という結果だった。

 ただ北野、井上両選手はその後の女子200メートル個人メドレーで共に日本新を記録。順位はわずか0・04秒差で井上選手が優勝、北野選手が2位となった。北野選手は本大会、女子100メートル自由形を合わせ2つの日本新記録を達成した。若い2人には「世界」を肌で知った効果が確実に表れているようだ。北野選手は「ペースを落とさないで行けた」と大会を振り返り、手応えを感じている様子だった。

 本大会では4つのアジア新記録が生まれた。男子100メートルバタフライで中島啓智選手(18)、男子400メートル自由形で富田宇宙選手(28)らが達成した。中島、富田両選手とも試合後、2020年に向けての熱い思いを語っていた。

 会場では選手と一緒に大勢のスタッフが大会に“参加”している。プールの両サイドにはビート板を手にしたライフセーバー2人が選手の泳ぎに合わせて試合中、ずっとプールサイドを往復する。ゴールには、目の見えない選手がゴールの際、プールの壁にぶつからないよう、長さ数メートルの棒の先端に付けたスポンジで選手の頭をポンと軽くたたいて知らせるコーチが待ち構えている。そのほか選手の移動を助けたりする大会運営に不可欠な大勢のスタッフがプール沿いを忙しく動き回る。スタッフの中には自身、体の不自由な人もいる。

 会場を包むこの大会ならではの温かい雰囲気は、選手を見守るこれらのスタッフと声援を送る観客が自然に育んでいるもののようだ。

 昼食時、広島県の選手4人のサポート役として自費で大会に参加した吉村潤さんとレストランでたまたま相席になった。自身も昔、パラリンピックの水泳強化選手で、現在はサラリーマンをしながら、太極拳の指導や障害者の水泳サークル「広島ドルフィン」のお手伝いをしている、という。「昔に比べると水泳競技のレベルは格段に向上している」と笑顔で振り返る吉村さんはしばらく話すと、カレーを食べる手を休めて大事なことを教えてくれた。「スポーツは障害者の人生を変えることがあります。人生に自信がつくんです」

 表彰台で各選手が見せる笑顔をひときわ魅力的なものにしているのは、この自信なのかもしれない。


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