“食”だけではない北海道の魅力続々 来春開設のアイヌ文化施設、地域交流体験、玉入れ

 北海道といえば、新鮮な魚介類、ジンギスカン、ラーメン、スープカレー、甘いトウモロコシ、アスパラガス、新鮮な牛乳から作られるアイスクリーム、ケーキといったデザートなどなど、食の魅力を語りだしたら、止まらなくなる。

 実際、民間シンクタンク「ブランド総合研究所」が10月中旬に発表した今年の市区町村別の魅力度調査によると、北海道函館市が2年連続6度目の1位を獲得し、2位も札幌市で(昨年3位)、街としてのブランド力の高さを示した。

 この結果についてブランド総合研究所は、函館市が地元産食材の豊富さなどが、札幌市は地場産品の魅力や住みたい町としての評価が上がったことが要因とみており、やはり「食の魅力」が大きなアピールポイントになっていることは間違いない。

 ただ、北海道は「食」だけでは語りきれない、さまざまな魅力を備えている。そんな数々の魅力を伝えようと、公益社団法人北海道観光振興機構がこのほど東京都内で、道内の自治体関係者らによる記者発表会を開いた。プレス関係者らで満席となった、当日の様子を報告する。

プレゼンする金子誘客広報部長

「あなたの心にそっと触れる」

  「イランカラプテ」という言葉が会場内に響いた。マイク台に立った、公益財団法人アイヌ民族文化財団民族共生象徴空間(ウポポイ)開業準備室の金子健太郎・誘客広報部長が、アイヌ語であいさつし、プレゼンテーションが始まった。

 イランカラプテとは、「こんにちは」という意味。元参議院議員の萱野茂氏がこの言葉を「あなたの心にそっと触れさせていただきます」と解釈し、広く知られるようになったという。政府(内閣官房アイヌ総合政策室北海道分室)が推進している「イランカラプテ」キャンペーンのメッセージで、これからの北海道のおもてなしの合言葉として使用している。

 ウポポイとは、北海道白老町で来年4月にオープンするアイヌ文化施設「民族共生象徴空間」のことだ。アイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味する「ウポポイ」の愛称を持つ。

 広さ約10ヘクタールの土地に、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園を中心に展開され、アイヌ文化を体験できる施設になる。公園の中には伝統的な住まい「チセ」がある集落「コタン」が再現されるなど、アイヌの生活も感じられるよう工夫がされている。

 新千歳空港から車で約40分の「ウポポイ」は現在、急ピッチで施設の工事が進められ、来年4月24日にオープンする。政府はアイヌ文化の復興・発展のための拠点となるナショナルセンターとして、年間来場者100万人を目標にしている。

プレゼン後にプレス関係者に説明するウポポイの職員ら

 金子さんは「アイヌの歴史、アイヌ文化への理解を深め、未来に伝えていくことを目的にしたウポポイにぜひ来ていただきたい」と話した。

 開園時間、入場料など詳細はHPまで。

ウポポイ(民族共生象徴空間):https://ainu-upopoy.jp/

自分だけの名所を見つけて

 次に登壇したのは、(株)北海道宝島旅行社の観光地域づくり事業部でプランナーを務める常井玄さんだ。

 この会社は2007年に創業。北海道を宝の島にたとえ、道内各地域の人々と一緒に「観光地域づくり」を進め、地域の良さを再発見することを目指し、スタートした。その作業を通じ、 これまでになかった、時間や空間の過ごし方を積極的に提案している。最近は訪日外国人の観光客が増えているという。

 常井さんは「道内各市町村の自治体と連携し、交流人口を増やすための『観光地域づくり』を通じた地域の支援を行っています」と語り始めた。

 今回、紹介したのは、「岩宇(がんう)で人と暮らしにであう旅」という企画だった。岩宇は、北海道の西に位置し、新千歳空港から車で約2時間半。積丹半島の西側の岩内町、共和町、神恵内村、泊村の計4町村の地域が「岩宇」と呼ばれている。

地域住民と体験プログラムを楽しむ米国人観光客ら

 地域住民との体験プログラムでは、例えば共和町の農家の冬の暮らしぶりを味わうツアーを行っている。雪上車で冬の畑を散策したり、まゆ玉飾りを作ったりする体験を楽しんでもらうという。

 北海道宝島旅行社の企画する「岩宇で人と暮らしにであう旅」は通年実施されており、1日のツアー料金は1万2000円から(目安。要問い合わせ)。同社は「絶景やグルメだけが、名所ではありません。けれども、知られざる名所こそ、かけ足では出会えません。どうぞ、あちらこちら寄り道しながら、自分だけの名所を見つけて、心も、荷物も、いっぱいにしてお帰りください」と呼び掛けている。

「母さんの料理教室」体験後に、地元の女性たちとスコップ三味線を楽しむオーストラリアの観光客

 北海道の岩宇地域で、あなた自身の名所をみつけてみませんか。

北海道宝島旅行社:http://h-takarajima.com/town/town/ganwu

高さ4メートル12センチの玉入れに挑む

 幼稚園や小学校の運動会で、定番の競技が玉入れだろう。それを町おこしに活用しているところがあった。北海道中央部の旭川市から北へ36キロ、旭川空港から車で約1時間の和寒町(わっさむちょう)だ。

 人口3228人(2019年11月)。カボチャの作付面積、収穫量が「日本トップクラス」で、雪の下で甘みが増す「越冬キャベツ」の産地で知られる。

 その和寒町で1995年、全日本玉入れ協会(All Japan Tamaire Association)=AJTA(アジャタ)を設立。翌年 150チーム、選手関係者2000人が参加した、第1回玉入れ選手権大会が和寒町内で開催された。

全日本玉入れ選手権で競技する選手たち

 このアジャタは、写真を見ていただければ分かるように、地面からバスケットの高さが、なんと4メートル12センチもある。とにかく高いのだ。これは、過去の最低気温マイナス41・2度を記録したことから、決められた。バスケットの直径、深さも、この場所が北緯44度にちなみ、いずれも44センチになっている。

 このバスケットをめがけ、4~6人の選手が合計100個のボールを入れ終わるまでの時間を競う競技。毎年、和寒町AJTA(全日本玉入れ選手権)が開催され、優勝すれば賞金50万円(一般部門)を獲得できる。

 プレゼンした、和寒町産業振興課の山口敏典主事は「健常者と障害者が一緒に楽しめるウィルチェア アジャタも登場しています。未来のパラリンピックの競技を目指したい」とアジャタの新しい取り組みを紹介した。

 今後については「アジャタの競技人口を増やし、全国各地での認知度をいっそう高めていきたい」と意気込む。

和寒町の越冬キャベツ

 アジャタで汗をかいた後は、ビールを片手に、甘い「越冬キャベツ」を使ったホルモン鍋もおいしいだろう。雪が降るのが早く、量が多いという和寒町の気候条件を生かし、秋に収穫されたキャベツを畑に並べておいて、冬の間、雪の下になるようにする。このキャベツを掘り出し、ゆっくり暖めてやれば、みずみずしい新鮮なキャベツによみがえり、甘みも増しているという。

 大人から子どもまで楽しめるアジャタ。未体験の玉入れ競技に挑戦し、甘い越冬キャベツを食べに訪れてはいかがでしょう。

全日本玉入れ協会:https://ajta.jp/

スポーツ歴史の検証
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