【コラム】成長しない「安倍チルドレン」

 人間で6歳といえば小学校に上がる年齢で、ある程度の分別がつく年ごろである。しかし、初当選から6年以上が過ぎても、安倍チルドレンはなかなか成長しない。暴言や不倫など、“魔の3回生”と称される彼ら彼女らは話題に事欠かず、週刊誌を喜ばせる。田畑毅衆院議員(当時)が準強制性交や未成年淫行疑惑で辞任しても、「またか」とため息が漏れるだけで、もはや誰も驚かない。

 安倍チルドレンが誕生したのは、2012年12月の衆院選である。安倍晋三首相が「悪夢」と言い放った民主党政権への反動から、自民党公認候補というだけで猫も杓子(しゃくし)も当選を果たした。もっとも、こうした“多産”は珍しい現象ではなく、05年の郵政選挙の際には小泉チルドレンが、また09年の政権交代選挙では小沢ガールズが生まれ、その後、マスコミをにぎわせた。

 安倍チルドレンのすべてが“魔”であるわけではない。真面目に政治に打ち込んでいる議員もいる。だが、「違うだろう、このハゲー!」と秘書に暴言を浴びせた豊田真由子氏や“路チュー”の中川郁子氏、“ゲス不倫”で世間を騒がせた宮崎謙介、中川俊直の両氏など、問題を起こす議員は少なからず安倍チルドレンである。議員数が多い期数であるとはいえ、スキャンダルの“打率”は極めて高い。

 なぜこの期だけが特殊なのか。「俺なんか血へどを吐く思いではい上がってきたけど、彼らはブームで当選してきた。うらやましいね」(中堅議員)との言葉に凝縮されるように、一番の理由は本人の努力よりも、自民党への“追い風”で当選してきたことである。候補者個人ではなく、所属政党が選択されるという意味では、安倍チルドレンはまさに政党本位の選挙の“賜物(たまもの)”であるが、「若い時の苦労は買ってでもせよ」の格言からはほど遠い。

 たとえ1回目は“ビギナーズラック”で当選できても、通常は徐々にふるいにかけられて淘汰(とうた)されていくものである。しかし、安倍政権が14年のみならず、17年衆院選でも大勝を収めたため、116人の安倍チルドレンのうち、約7割が今もバッジを付けている。この中には小選挙区で落選しながら、比例代表で復活当選して生き残っている議員もいる。

 安倍チルドレンは、永田町においても“現代っ子”である。「先輩や年長者に対しても平気でため口を利く者もいる。この前、ちょっと注意したら逆ギレされたよ」(閣僚経験者)といった話も聞く。しばしば派閥の弊害が指摘されてきたが、若手議員への教育・訓練機能を発揮していたことは事実である。安倍チルドレンが初当選した頃、すでに自民党の派閥は往年の力を失っていた。

 安倍首相は間違いなく“魔の3回生”の生みの親である。ヒヨコが初めて目にしたものを親だと認識することを“刷り込み”というが、“魔の3回生”にとって安倍首相はまさに“親”である。「安倍1強」の要因はいくつもあるが、自民党衆院議員の3割が安倍チルドレンで占められていることも、その一つである。本会議での“親”の演説に、ひと際大きな拍手と歓声を送るのも彼ら彼女らである。

 確かに“魔の3回生”を成長させていない責任は安倍首相や自民党にあり、不祥事を起こせば議員辞職を強いる厳しい処置が必要とされる。一方、彼ら彼女らよりも“マシ”な候補者を擁立していない点では、野党も非難を免れない。だが、最終的な“製造物責任”は彼ら彼女らを選んでいる国民自身にある。このままムードや雰囲気、“風”に流されて一票を投じ続ければ、“魔の3回生”が中堅議員になる頃には国政の場で“学級崩壊”が起きかねない。

(政治アナリスト 楠 拳太郎)


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