【コラム】二次元婚は新たな婚姻の形になるか

 初音ミクと挙式する男性の話題が、今年8月16日にITmedia NEWSの記事として配信され、その日のうちにYahoo!ニュース(IT総合)のアクセスランキングトップになった。ヤフトピに記事が並ぶことは、現時点において事実上新聞の一面記事になるよりも多くの人の目に触れることを意味する。今までこの種の話題に興味がなかった人にも、「そんな人がいるのか」と認知されるきっかけになることだろう。

 実は、人間と二次元女子との婚姻ネタは、秋葉原やサブカルチャーの界隈では、そう珍しい話でも目新しい話でもない。上記の事例は普通の結婚式場で、なんとか交渉して結婚式を行おうとした点で新味があるが、期間限定、あるいは広告的訴求を狙ったイベントとしての人間と二次元女子(今のところ、二次元男子と大々的に結婚した女性の話は聞かない。事実婚の人は大量にいるだろうし、単に私の勉強不足かもしれないが)の婚姻はこれまでにも行われてきたのである。

 例えば、今回の結婚式では誓いのキスのためにぬいぐるみが用意されるようだが、2017年に「ねとらぼ」が報道した結婚式ではVRとマシュマロを使って誓いのキスが行われていた。

 私自身もネットユーザーに対して、無作為抽出のアンケートを実施したことがある。

 ぱっと見、少なそうに思えるのだが、「二次元キャラ」と本気で結婚しますか、というある意味荒唐無稽な設問に対して16%の人が肯定的な回答をしているのである。

 さらに、結婚相手として迎える二次元キャラに住民税がかかったとしても結婚するとまでハードルを上げても9%の人が肯定的な回答をした。

 もちろん、一般の人とは回答に大きな隔たりがある。

以上、二次元婚についてのアンケート(2016年7月22日調べ、n=330)

 さすがに一般の人の回答は、それぞれの数値は1%、0%となる。これがマジョリティーの素直な感覚だろう。

 ただ、これらの事例や調査結果から一つ言えることがあるとすれば、二次元キャラを本気の恋愛対象とする人は、ごくまれな特殊事例ではもはやないということである。少なくとも、LGBTと同等のインパクトを持ち、存在していると言えるだろう。LGBTは歴史が長いだけに、権利保護の意識などが浸透して(しつつ)あるが、LGBTは尊重しても、二次元萌えは蔑むといった風潮はまだある、というかそれが普通だろう。おそらくこれからは、二次元婚を真剣に考えるような人も、まっとうな性的少数者として扱われるような社会の枠組みをつくっていく必要があるはずである。

 また、二次元女子にのめり込むユーザーは、リアル女子(現実の女性)に相手にされないからそうなるのだ、というステレオタイプな批判も、すでに機能していない事例がある。顔面偏差値が高かったり、高収入だったり、リアル彼女がいたりする男性が、リアル女子と二次元女子を比較考量して、やはり二次元女子しか愛せないというケースが年々増加しているのである。

 私は、自分が男性ということもあり、女性ユーザーと二次元男子についてのデータと考察が圧倒的に欠乏しているが、裏書きするデータはないものの体感的には同じ傾向を示している。私たちの異性への理想は、突き詰めると二次元化していくのかもしれない。杉田水脈・衆院議員なら、きっと生産性がないと嘆くことだろう。

【筆者略歴】

岡嶋裕史(おかじま・ゆうし) 中央大学国際情報学部開設準備室副室長。富士総合研究所、関東学院大学情報科学センター所長を経て現職。著書多数。近著に「ビッグデータの罠」(新潮社)など。


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