【コラム・一粒の豆から】サードウエーブ~コーヒーの味の決め手は何か~

 京都市内の寂れた商店街の一角で「Quadrifoglio(クアドリフォリオ)という名前のコーヒー焙煎店を営んでいます。

 今日は、最近よく耳にする「サードウエーブ」についてお話しましょう。そもそもサードウエーブとは何のことでしょうか?

 日本に喫茶店、純喫茶が数多く開店し、自家焙煎喫茶などが出てきたころが「ファーストウエーブ」、スターバックスに代表されるシアトル系大型チェーン店が一大ブームになったころが「セカンドウエーブ」と呼ばれました。その後、コーヒーに対する考え方に変化が見え始め、米カリフォルニア州に本社を構える「ブルーボトルコーヒー」が2015年、日本に上陸したのをきっかけに、サードウエーブが到来したといわれました。

 私がコーヒーに携わるようになった2003年ごろ、既にサードウエーブの兆しがありました。

 サードウエーブの原点は、シアトル系大型チェーン店が世界を席巻した1970~80年代、「コーヒーの産地特異性を大事にする必要がある」と提言され、「アメリカスペシャルティ協会」(SCAA)が発足したころにあると私は考えています。

 コーヒーの評価基準が、それまでの農業的な欠点評価でなく、生産地による特徴や味わいを対象にするようになると同時に、もう一つ大切な事に目が向けられるようになりました。それは、生産者が得る対価と消費者(飲む人)が支払う対価に、極めて不公平な格差があり、それを是正する必要性です。継続的なコーヒー生産を行うためには、適正な生産者対価や生活環境、自然環境保全が必要であると考えられ、多くのNPOやNGOが力を注ぎ始めました。

 また、その年に収穫されたコーヒーの中から最高品質のものに与えられる「カップオブエクセレンス」などのコンテストや、「スペシャリティコーヒー」(生産段階からカップに入れて提供されるまでの全ての段階で品質管理が徹底されたコーヒー)という言葉が使われるようになりました。

 さらに、コーヒー愛好者の間で、テロワール(栽培地特性)やサステナビリティー(持続可能性)、トレーサビリティー(生産流通履歴)、シングルオリジン(品種の違うコーヒー豆をブレンドせず、農園などの小さい単位で販売されるコーヒー豆)などの言葉が飛び交うようになり、今日言われるサードウエーブにつながっていったと思っています。

 2015年、ブルーボトルコーヒーが日本に上陸したことでブームに火がつきました。コーヒーに第三の波が来ているとマスコミが取り上げ、多くの自家焙煎店が出現、“浅煎りコーヒーで新感覚のコーヒーを味わおう”と喧伝されました。

 サードウエーブの最大の特徴は“コーヒー本来の特徴を鮮明に表すには極浅煎りが良い”という考え方です。浅煎りコーヒーには、浅煎りでしか出ない味わいがありますが、コーヒー豆の芯まで火を入れるには高い技術を必要とします。浅煎りコーヒーを提供する店が増えることで、逆にコーヒー嫌いが増えなければいい、と願っていました。

 コーヒーの味わいを決定する最大の要因がコーヒー生豆の品質であることは間違いありませんが、それ以外で味を大きく左右するのが焙煎です。ロースター(焙煎をする人)は、対象となるコーヒーの最も良い味わいを引き出せる焙煎ポイントを見極めて、火を入れるのですが、ここでロースターの主観が入ることは否定できません。

 サードウエーブがブームになる前から個人のロースターは、最も適正である焙煎はどこにあるかを探り続けていました。“浅煎りこそコーヒーの味わいを表す”という人もいれば“香味の変化する2ハゼ(コーヒー焙煎では1ハゼ、2ハゼなどの言葉を使い、ポップコーンが弾けるように音が聞こえる)に入ってからだ”など、ロースターの考え方や嗜好によって決定されていました。

 現在ブームは新たな方向に向かいつつあり、次の波が来るといわれています。

 いずれにしても、コーヒーは嗜好性の強い飲料です。マスコミがあおる言葉ではなく、興味のある入れ方や飲み方をいろいろ試し、自分がおいしいと感じるコーヒーを飲むのが一番です。一つだけ重要なのは、信頼できる店を見つけることです。

【Quadrifoglioの今月のオススメ】

 新しく焙煎したコーヒー「マラウイ ミスクAA フレンチロースト」を紹介します。コラムに登場する浅煎りコーヒーではなく、深煎りです。深煎りの中でも少し浅めの設定にしました。

 マラウイは、モザンピーク、タンザニア、ザンビアに囲まれた東アフリカの小さな内陸国です。今回のコーヒー豆は、豊かな酸味を持っており深煎りにしても良い味わいを出してくれます。カップに注がれた液体を口に含むと甘く濃度の高さを感じます。ほんのり香るアンズやプラムのような香りと優しい酸味、訪れる苦味は穏やかで良質な余韻をもたらします。冷めても味わいを損なわないので、そのままアイスコーヒーにしてもおいしさが持続します。

マラウイ ミスクAA フレンチロースト

【筆者略歴】

山口義夫(やまぐち・よしお) Quadrifoglio(京都市下京区西七条北東野町27-2、電話075-311-6781)経営。http://www.quadrifoglio-coffee.com/

クアドリフォリオの店内


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