Kyodo Weekly 2012年4月2日
「命を懸け、政治生命を懸け、この国会中に成立させる」。野田佳彦首相は3月24日、消費税増税関連法案の国会提出に向けた正念場を迎え、自らの決意を強調した。だが、肝心の内閣支持率は微増にとどまり、依然低迷。民主党内にも強い反対意見を抱える中、野田政権の前途には暗雲も漂う。
▽30%へはい上がる
共同通信社は3月19、20両日に全国電話世論調査を実施した。野田内閣の支持率は31・6%で、前回2月18、19両日調査時の29・0%から2・6ポイント増と、辛うじて30%台まで、はい上がる格好となった。不支持率は50・2%と、前回調査の55・2%からは5・0ポイント減少した。
内閣の支持理由では、依然として「ほかに適当な人がいない」が最多で49・2%(前回調査51・9%)、次いで「首相を信頼する」が21・3%(同13・6%)だった。不支持理由のトップは「経済政策に期待が持てない」の22・4%(同18・8%)。「首相に指導力がない」16・2%(同17・9%)の順。
消費税増税の実現を掲げてぶれない野田首相の姿勢が、信頼度の上昇をもたらしたとも見て取れるが、不支持理由で経済政策への不満度もアップしており、これで内閣支持が下げ止まったと見るのは早計だろう。
今回の調査は、民主党内で消費税増税関連法案の国会提出に向けた論議が本格化し、小沢一郎元代表に近い増税反対議員の反発などが激化する中で実施された。時を同じくして、民主党と連立を組む国民新党の亀井静香代表も「(消費税率引き上げは行わないとの)連立政権合意がほごにされれば、連立に残る理由はない」と、政権離脱の可能性に言及。
一方で、岡田克也副総理が自民党幹部に大連立を打診していたことが明らかになるなど、3月末の法案提出期限をにらみ、増税への賛否をめぐって与野党が入り乱れて攻防の火ぶたが切って落とされたタイミングと重なった。
加えて、3月24日に野田首相が「ここで決断し、政治を前進させることができなければ、野田内閣の存在意義はない」と述べるなど、あえて「政治生命」に触れたことで、首相の責任は限りなく重くなる事態に至っている。消費税増税をめぐる“乱戦”は、今後さらに緊迫の度が増しそうだ。
▽女性に拒否感
社会保障と税の一体改革大綱に基づく消費税率の引き上げに対する民意の動向に目を移すと、「3月末までに」とする消費税増税関連法案の国会提出時期が近づく中での調査とあって、反対意見が強まったとも受け取れる結果となった。
消費税率の引き上げについて「反対」と「どちらかといえば」も合わせた反対派は計56・0%と、2月17日に社会保障と税の一体改革大綱が閣議決定された直後の前回2月調査の計50・6%と比べ、5・4ポイント増に及ぶ。一方、賛成派は計42・1%にとどまり、前回の計48・3%からは6・2ポイントも減少した。
男女別で見ると、男性の反対派は53・3%(同44・5%)、賛成派44・9%(同54・3%)。女性は反対派が58・5%(同56・1%)、賛成派39・5%(同42・9%)。前回と比べた賛否の変動は男性が大きいが、家計に敏感な女性の拒否感が男性より強いことには変わりがない。
女性の若年層(20~30代)では、反対派は71・6%(同63・2%)に達し、賛成派は28・4%(同35・9%)にすぎない。この層で賛否の格差を探ると、前回27・3ポイントが、今回は43・2ポイントへと、大幅に広がった。
職業別で反対派が最も多いのは「現業職」(店員や工員など各種産業労働者、現業系のパート、アルバイト、派遣社員など)で、66・6%(同60・3%)に上り、賛成派は31・0%(同39・7%)にとどまった。
対照的に「管理職」では依然、賛成派が過半数を占めた。だが、賛成派54・3%(同91・3%)に対し、反対派45・7%(同8・6%)と、前回調査からの賛否の変動は大きかった。
政党支持層別で反対派を探ると、民主党が32・5%(同34・4%)と前回比でわずかに減少したが、自民党は61・8%(同56・2%)、公明党が82・9%(同51・7%)、「支持政党なし」の無党派層で55・7%(同51・2%)と、特に公明党支持層で反対派の増大が目立った。消費税増税の影響を受けやすい層での拒否感が高まるなど、民意の危機感を映し出す結果といえそうだ。
▽下降続く民主党支持
内閣支持率を男女別で探ると、男性は支持率31・4%(前回調査27・6%)、不支持率53・8%(同60・0%)に対し、女性は支持率31・7%(同30・3%)、不支持率47・0%(同50・6%)で、男性の不支持が、なお過半数を占める結果に。
政党支持率では、民主党15・5%(同16・8%)、自民党21・2%(同18・2%)、公明党4・4%(同3・9%)、「支持政党なし」の無党派層45・5%(同46・7%)。民主党支持率は、野田内閣が発足時に菅内閣最末期の19・3%から27・2%に上昇したものの、その後は調査を重ねるごとに下降を続けている。
消費税増税をめぐる論議は、国会だけでなく国民の意見も大きく割れている。国民を政治不信の極限まで追いやらないためには、十分な国民に対する説明と丁寧な政治プロセスが求められる。

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