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特集:50歳以上の7割が感染しているといわれる「ピロリ菌」

ピロリ菌研究の歴史

ピロリ発見で、2005年ノーベル医学・生理学賞受賞!
発見までは苦難の連続… 
 ピロリ菌が胃の中に棲みついていることを発見したのは、オーストラリア、ロイヤル・パース病院の病理学者Warren(ウォーレン)医師です。1979年、慢性胃炎患者の炎症部位の胃粘膜組織を切り取って検査していたところ、胃粘膜の幽門部(出口付近)にらせん状の菌が付着しているのを発見したのです。
 その後も、胃炎・胃十二指腸潰瘍を患っているほとんどの患者の粘膜でピロリ菌を確認しました。ウォーレンは、当時研究を手伝っていた助手のMarshall(マーシャル、現在は西オーストラリア大学教授)とともに、この菌の培養を試みましたが、なかなかうまくいきません。
  82年のある日、マーシャルが培養シャーレを置いたまま、イースターの4日間の休暇に出かけた後、研究室に戻ってきたら、なんと細菌のコロニー(菌塊)ができていたのです。ピロリ菌の増殖には長い時間が必要だったのです。
 当初、この細菌はカンピロバクター属に分類されていましたが、1989年、新たにヘリコバクター属が設けられ、ヘリコバクター・ピロリ(「ヘリコ」(らせん)、「バクター」(細菌)、「ピロリ」(胃の幽門部)という名前が付けられました。

自分でピロリ菌を飲み込み、学説を証明!
 翌年、「この細菌が胃潰瘍の原因である」と二人は学会で主張しましたが、当時は「強酸の胃の中で細菌が生息できるわけがない」、「胃潰瘍の原因はストレスや食生活による」という学説が根強く、なかなか受け入れてもらえませんでした。
 そこで、84年、マーシャルは自分で菌を飲み込むという人体実験を試みたところ、見事、急性胃炎を発症。さらに、自分の胃の炎症部分からピロリ菌を取り出した結果、培養していたものと同じ遺伝子型だったことがわかり、自分の学説が正しかったことを身をもって検証したのです。
 この有名なエピソードには後日談があり、このとき、マーシャルは夫人に黙って菌を飲み込んでいたため、「小さな子供がいるのよ」とのちに激怒されたと言われています。 だが、その後も学説は支持されず、米国国立衛生研究所(NIH)に認められたのは10年を経た94年のことでした。

ピロリ菌は血液型ごとに姿を変えている!
 2004年には、ピロリ菌が宿主の血液型に合わせて姿を変えながら胃粘膜に棲みつくことが明らかになりました。国際研究チーム(日本、米国、欧州)が世界各地の胃潰瘍患者からピロリ菌を採取して血液型との関係を調べたところ、「O型の胃粘膜とだけ結合するタイプ」や「どの血液型の胃粘膜にも結合するタイプ」が発見されました。胃粘膜の細胞は血液型によって組織が異なり、ピロリ菌は胃粘膜に棲みつくため、それぞれの血液型の組織と結合するたんぱく質を有するよう進化していたのです。
  その事実は、米国の科学誌「サイエンス」で発表され、ピロリ菌が世界的に感染拡大した要因のひとつと考えられています。
4.世界を席巻するピロリ菌
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