ビンラディンがパキスタンの首都イスラマバード近郊の、それも陸軍士官学校に近い隠れ家で殺害されて以来、同国が取っている態度は怒りをあおるものでしかない。軍民の指導者は、ビンラディンの潜伏にどの当局者が関与していたかを割り出す約束をするどころか、全責任を回避し反米感情をあおろうとしている。
パキスタンは、過激派との戦いが自国の生き残りに必要不可決であることを理解する兆候がない。また、9・11テロ以降、パキスタンが容認してきた自国内での米軍の大規模駐留と中央情報局(CIA)による情報活動がなければ、米国がビンラディンを殺害することができなったことも、同様に冷厳な事実である。
パキスタンには、もっと多くの過激派が潜伏している。米国は、アフガニスタンに兵士を派遣するためにパキスタンの協力を必要としている。米軍のアフガンからの撤退を最も可能にするのは、タリバンとの政治取引だが、パキスタンは、そうした取引を容易にするのを助けることもできるし、阻害することもできる。
考慮すべき冷厳な事実がもう一つある。パキスタン政府の安定性である(同国は核兵器を保有している)。パキスタン軍は、過激派による国家の奪取を米軍の支援なしで食い止められるかもしれないが、われわれはそれには賭けたくない。
オバマ大統領は、この機会をうまく活用する必要がある。多くのパキスタン国民は、自国内で起きた米軍の急襲作戦に怒っているが、多くの国民がまた、ビンラディンが長期間、自国内に潜伏していた事実に激怒している。同国のテレビ放送は「パキスタンは世界最大のテロの温床になっている」と指摘したほどだ。
パキスタン議会は、米軍によるビンラディンへの一方的攻撃を主権侵害と非難する決議を採択し、無人機攻撃を停止しなければアフガンへの軍事供給路を閉ざすと脅した。それは有益な対応ではない。パキスタンの指導者は、今後判明するかもしれない事実に神経質になっている。米軍が押収したコンピューター内のファイルから、米国にとって歓迎すべき交渉材料がもたらされるかもしれないのだ。
オバマ政権はまた、テロ対策に何が不可欠かを判断するため、より厳しい目を軍事援助に向ける必要がある。米国はまた、パキスタンがアフガンより大きな悪夢になる可能性があることを見落とすべきではない。パキスタンの政治文化を変える上で、経済援助は長期的に最大の可能性をもたらす。学校、エネルギーなどに5年で75億ドルを供与する計画はまだ実施されていない。米議会は、世界的視野を持つ中産階級を育てるために最善の方法である通商法案を承認するべきだ。
パキスタンの指導者たちは、極めて重大な決断を迫られている。彼らは、米国が無条件で支援する時代が終わったことを知る必要があるのだ。

政治・経済・国際の解説・分析記事
































