トルコの最大都市イスタンブールと首都アンカラでは、高層のマンションやオフィスビルが風景を変えつつある。トルコは、近年の経済成長率が多くの欧州諸国の成長率を上回っており、混乱が続く中東地域で成功した国としてしばしば語られている。
たとえそうであっても、トルコの民主主義は、多様で分裂した国民の権利と自由を保証する状況には依然としてほど遠い。そうした弱点は是正する必要があり、新憲法制定から始めるべきだ。今後、数カ月間が極めて重要だ。
エルドアン首相は就任して9年になる。エルドアン氏とそのイスラム系の与党・公正発展党(AKP)が、クーデターに走りがちな軍の権力を抑制し、また、かつては無視したり敵対したりしていた勢力に対する寛容さを醸成したことは称賛に値する。
しかし、軍が1982年に制定し、個人の権利よりも国家の安全保障を重んじた現憲法は変わっていない。トルコ政府は、分離独立を主張するクルド人といまだに交戦状態にある。トルコの司法制度では、正式な告発がなくても無期限に拘束することが可能だ。そして一般国民は、平均すると6・5年の教育しか受けていない。
トルコ議会は最近、新憲法起草委員会を設置した。新憲法草案は6月までにまとまるとみられている。委員会は、透明な起草プロセスに従い、初代大統領アタチュルクが唱導した国家主義に基づく古くて権威主義的な憲法を廃止して、一から起草し直さなければならない。
新憲法は、軍に対する文民統制を明記し、そして個人の権利と言論・宗教・報道の自由を保護しなければならない。新憲法は同時に、「市民」を定義し直し、トルコ人だけでなく、クルド人や他の民族も「市民」に含めて、クルド人らが二度と抑圧されることのないようにしなければならない。現憲法は「市民」を「トルコ人」と定義している。
新憲法とは別に、対処するべき課題が多くある。トルコ人は依然として、トルコ社会における宗教の役割をめぐってひどく分裂している。教育制度には多くの欠陥があるし、エルドアン氏の司法制度改革はまだまだ不十分だ。それにトルコ政府は「テロ」を極めて広義に定義し、そうした定義を、クルド人や他の批判者を逮捕し拘束するための口実に頻繁に使っている。
エルドアン氏は、中東で主導的な役割を正当に主張できる。しかしエルドアン氏は、トルコ自身の民主主義を強化すれば、もっと信頼が得られるのだ。
[NY・タイムズ]

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