オバマ政権は、北朝鮮と2月に結んだ地道な核合意について、成果を誇るのをもっともな理由から差し控えた。北朝鮮はこれまで、挑発と約束違反をずっと繰り返してきたからだ。しかし今回の米朝合意がわずか17日間で破綻の瀬戸際に追いやられるとは、誰も予期していなかった。
それは先週の16日に起きた。北朝鮮は同日、建国の父・故金日成主席の生誕100周年を祝う4月に「人工衛星」を打ち上げる計画を発表したのだ。北朝鮮を理解するのは常に難しいが、今回の衛星打ち上げ決定は特に不可解だ。というのも、金日成氏の孫で、まだ力量が試されていない新指導者の金正恩氏にとって最初の国際合意を危険にさらすからだ。
米朝合意で北朝鮮は、核兵器実験、ミサイル打ち上げ、ウラン濃縮活動を停止することに同意した。また2009年に寧辺の核施設から追放した国際原子力機関(IAEA)の査察官を再び受け入れることに同意した。寧辺の核施設で北朝鮮は、核兵器用のプルトニウムの生産も行った。北朝鮮は、核爆弾6~8個を製造するのに十分なプルトニウムを保有している。
計画されている衛星打ち上げは、手段として弾道ミサイルを必要とすることから米朝合意に違反する。北朝鮮と米国は、合意の中で長距離ミサイルの打ち上げを停止することで一致しているのだ。米当局者はまた、衛星打ち上げが「合意を壊すもの」になることを、両国が交渉の過程で明確にしたと述べている。
北朝鮮は、平和目的のために人工衛星を打ち上げる権利が彼らにはあると主張している。しかし北朝鮮が行おうとしているのは、核爆弾を運搬できるミサイルの打ち上げ実験でしかないと誰しも思っている。それこそ国連安保理が、前回2009年のミサイル打ち上げを受けて、そうした行為の中止を要求した理由だ。北朝鮮の権力継承はこれまで極めてスムーズに進んでいるようにみえた。軍部がこの合意に関して金正恩氏を抑え込んだのだろうか。どうであれ、北朝鮮の姿勢の転換は、金正恩氏が最終決定をしないために彼の発言が信用できないことを示唆しており、金正恩氏に対する認識を傷付けている。
北朝鮮の核・ミサイル実験が、地域の緊張を急速に高めていく可能性があるのは、長年の経験から明白だ。米国は対抗措置として、北朝鮮に対する食糧援助再開の約束を保留している。米朝合意を生かす時間はまだある。50カ国以上の指導者が来週、ソウルで開催される「核安全保障サミット」に出席する。それは、北朝鮮の主要な後ろ盾である中国を含めた指導者たちにとって、北朝鮮を説得して衛星打ち上げをやめさせる方法を見いだすための絶好の機会となる。
[NY・タイムズ]

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