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上野広治氏『生徒、選手へ目標・モチベーションの持たせ方』 開催報告(第1回全国スポーツ懇話会)

日本水泳連盟 常務理事 上野広治氏
「生徒、選手への目標モチベーションの持たせ方」

今日のテーマはですね、「生徒、選手への目標モチベーションの持たせ方」ということなのですが、ここにいらっしゃる方は皆さん学校の先生方ということで各教科、またはクラス担任であり、一番多くが、生徒指導など顧問の先生方ということでお話をさせていただきます。前半のところは、水泳連盟の競泳委員長という立場でお話をさせていただき、後半のところにつきましては、いま現在、久しぶりに中学校の2年生を担当しています。現場の一教員の立場でお話させていただきます。今日も午後の時間、水泳を専門でやっているのですが、当然体育の教員であるので、武道が入りまして、初めて剣道の指導を5時間目6時間目にやってからここに参りました。皆さんと同じような現場にいながら、ナショナルチームに携わっています。紹介にもありますが、1997年から8年間ヘッドコーチさせていただきまして、シドニーとアテネのオリンピックはヘッドコーチ。そしてその後、北京とロンドンは監督として水泳指導に携わってきました。幸い学校にも理解をしていただきながら、7月はロシアでのユニバーシアード、そのままバルセロナでの世界選手権と、ナショナルチームの指導も17年目に入り、リオデジャネイロに向けて、一年目というような状況でございます。ただ、現場は、やはり中学校または高校の一教員という状況ですので、皆様方の参考になればということでレベルその他の問題もあるかもしれませんが、講演させていただきます。よろしくお願い致します。

選手としての実績はなし

それでは、振り返りながらになりますが、水泳連盟の競技委員長という立場になぜ私が抜擢されたのかというところからお話をさせていただきたいと思います。

私のことをインターネットで調べていただくと分かると思うのですが、上野っていうのは選手としてどのくらいのレベルなのか。ここから始まると思うのですよね。本当にお恥ずかしいのですが、私には選手としての実績はありません。ただ、指導者として母校に戻り、指導していたのですが、日大豊山高校は約60年間、全国で優勝争いをする総合成績を収めています。一昨年もインターハイで優勝し、ずっと上位三校の中に入っています。

オリンピック委員会でいろいろな役割をさせていただいておりますが、私の周りはオリンピック金メダリストしかいません。どの競技も(理事会に)出てくるのは金メダリストです。

柔道、体操、その他の競技もほとんどが金メダリストといった人たちが、会議の場に出てきます。また、冬のオリンピックが近づいてきていますけど、冬のオリンピックの指導者は、まさしくオリンピックに行っていない人はいないのです。「水泳はどうか」といったら、現在ヘッドコーチをしている北島のコーチの平井。彼も私と一緒で、選手としての実績は全くありません。今回のロンドンオリンピックへ行った指導者で、選手としてオリンピックを経験している指導者はゼロだったと思います。北京のときで2人程度です。(中略)

学校体育指導者の役割

私が指導する前になるのですが、96年のアトランタオリンピックというのが、メダルなしで惨敗に終わります。このときの指導者は、すべてスイミングクラブの指導者です。後ほどでてきますが、学校体育と社会体育ということで、水泳の場合はほとんど(の選手が)スイミングクラブです。ですから指導者もスイミングクラブです。「学校の先生を入れろ!」と、突然、白羽の矢が立ち、97年から(私も指導に携わり)徐々に徐々に成績を上げていきました。4年後のシドニーオリンピックはヘッドコーチとして初めてオリンピックに参加し、アトランタのメダルゼロからすれば喜ばしいのですが、銀メダル2、銅メダル2の4つのメダルが取れました。このとき高校三年生で北島も出ているのですが、やはり男子のメダルが1つも取れなかったということで、メダルを狙えるチームというのはどうやったら作れるのかなという思いがありました。

覚悟を決める必要性

学校の理解もあり、2004年のアテネオリンピックにも、ヘッドコーチで行くことができました。幸い金メダルが3つ。そのうち北島が2つです。全く予想もしていなかった柴田亜衣が2番手で代表に選ばれて大幅に記録を伸ばして金メダル。チームの流れが凄く良くて競泳は8日間あるのですが、「3番に入れば」という状況の予選でしたが、勢いにのって金メダル。続いて銀メダルが1つ。銅メダルが4つというような状況で8個のメダルが取れました。

指導者に何が求められるかというと、選手のレベルがあがればあがるほどコーチを必要としているのです。コーチの技量アップをしない限りは、メダルは取れないという現状になってきている。それが「学校の先生では通用しないのか」「スイミングクラブで通用するのか」というところに違いがあったのだと思うし、やっぱりオリンピックの経験を重ねていくと、予選と準決勝と決勝をどう勝ち上がっていけるか、予測がついてきます。たとえば予選のときに、「これはもしかしたらメダルが取れるかな」準決勝のときに、「もしかしたら3番か4番かうまくいけば金メダルか」ということで作戦は全く変わってくると思います。3番と4番じゃ天と地です。でも、あまり2番と3番は違いないと思います。これが金メダルとなりますと、これも天と地だと思います。そこに対しての最後の作戦というのですか、手品の種証と言うことじゃないのですが、最後に、「判断」「決断」「覚悟」ということで、大体が「判断」と「決断」です。最後に「覚悟」が必要です。例を挙げると、陸上で、シドニーのチャンピオンの高橋尚子が選考から落とされて、そこで野口が金メダルを取ったわけですよ。選手も指導者もそうですけど、追い込まれて背水の陣で望むと「覚悟」が生まれてきます。そこが3番と4番の違いだとか金メダルの違いとしてでてくるのではないかなと思いました。

(中略)

努力のプロセスを理解させる

今回オリンピックの研修のなかで一番重要視したのがインタビューです。上手になっているのですが、アスリートが優秀な成績を収めたときに「皆様のおかげです」というのはもうほとんど言えると思います。ただ、内容のないコメントが非常に多いので、オリンピックまでの間に「私が金メダルを取るにはどういう課題があるか」ということを考えさせました。オリンピックの代表が決まってから約100日間あるわけですが、そこには「何が課題で、どのようにその課題を克服するか」「どのようなトレーニングをして克服してきたのか」そのことによって「このような心と身体を手に入れることができた」という、努力のプロセスをしっかり理解させてきたつもりです。そのことによって結果にも結びついたし、結論的にはコメントもしっかりとできたのではないかなと思います。

応援する、されるというチームワーク

左の写真が、ちょっと古くなりますが、水泳界にはマイケルフェルプスの前に、イアンソープというオーストラリアの選手がいました。普段、彼がこうしてスタンドで応援することはないのですが、オーストラリアがリレーの予選で失格したので出番がなくなり、女子チームを彼が応援するという場面です。アメリカとの接戦で、金メダルか銀メダルのどちらかという状況で、落ち着いて応援しています。右の写真を見ていただくと、彼がこういう顔するわけです。こういう写真は残しておいて、日本の選手たちにも「ここまで青筋を立てて応援しているか」また、「応援されているという状況を感じているか」と問いかけます。強い選手たちからすると、応援されることはあっても応援することは多くありません。

(講演は続く)

講師プロフィール 上野 広治(うえの こうじ)氏

1959年4月生まれ、東京都出身。日本水泳連盟常務理事 競泳委員長で、日本大学豊山中・高等学校(保健体育科)教諭・水泳部顧問。日本大学水泳部の監督も務める。日大豊山高校在学中からチームマネジメントに係わり、日本大学卒業後は豊山高校の教壇に立つ傍ら同水泳部コーチ、顧問を歴任。

96年のアトランタ五輪終了後より競泳の日本代表チームヘッドコーチに就任。シドニー五輪では銀2、銅2を獲得。アテネ五輪では金3、銀1、銅4の8個を獲得し日本競泳陣の躍進に貢献。05年からは日本代表監督に就任し、北京五輪では金2、銅3のメダルを獲得。昨年のロンドン五輪では27人の日本代表選手団を引き連れて戦後最多となるメダル11個(銀3、銅8)を獲得した。

日本代表のヘッドコーチに就任して以降、教員目線で個人競技である競泳をチームとして戦う姿に変えるマネージメントを行い、現在の日本代表を作り上げた立役者。

全国スポーツ懇話会

– 学校教育に活かすスポーツを通じての人間形成 –

部活動・生徒指導の教員や、地域ボランティアで少年野球やサッカークラブなどの指導をしている方を中心に参加者を募り、日々、苦労しているスポーツ指導のお役立ていただける場の提供をとしているものです。

専門的な指導方法の共有から、日ごろのワンポイントアドバイス、生徒、選手とのコミュニケーションのヒントになるものばかりと参加者から好評を得ています。毎回、時宜に適した講師をお招きして年4回程度で開催しているこの会は、スポーツ指導から会社での規律、社員教育のヒントに必ずお役に立ちます。

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